そも減衰とは何であろうか?という基本に立ち返る

 減衰の厳密は定義が何かというのは、物理学に譲りますが、普段の言葉で表すなら「材料が動こうとする力が、徐々に削られてゆく様」というのが私の理解です。

 では日常で観察、体験しているであろう現象から減衰を説明します。

 スーパーボール

 子供の頃からスーパーボールがなぜあれだけ跳ね返るのか不思議でした。ある程度思考力が身につく年頃になると理解できるようになりましたが、つまりスーパーボールが落下(または人力で投げつける)した際、ボールは瞬間的に変形します。そして元の形状に戻ります。

 その変形と戻る速度の差が大きければ大きいほど、ボールの跳ね返りは小さくなります。逆に変形の速度差が等しければ、落とした(投げた)運動エネルギーは損失を少なく跳ね返る、つまり高く跳ね返るわけです。 

 与えた力が吸収≒減衰されなければ高く跳ね返り、吸収(減衰)すると跳ね返りづらくなります。

 ちなみにスーパーボールの材質はポリブタエジンというそうです。

 海の色はなぜ青く、緑にもなるのか?

今年は息子が灯台に行きたいというので、何度も灯台(海)を見に行っております。

 海の色がなぜ青いのか。これも減衰が関連しています。

 光には波長があります。ちなみに光は粒子でもあるし波でもあるという珍しい特徴を持ち合わせていますが、本題からそれるためここでは割愛します。というより、ソレを語るほどの知識がありません。

 話題を戻しますが、光の波長は可視光線で赤が長く、紫が短いようです。そして水の中を進む光で最初に吸収される、つまり減衰するのは赤であり、最後まで残るのが青なので海は青く見えるそうです。

 南の島のリゾート地における海ではエメラルドグリーンが有名ですが、あれは植物プランクトンが影響し緑の波長が最後まで残るために現れる色との解説を見つけました。

浅いと光波が吸収される前に、底に到達するので色の変化は確認出来ない。

 サスペンションにおける減衰

 今回は減衰に関する話なので、サスペンションとショックユニット、更に減衰力を発生するダンパーを区別する必要があります。

 区別が簡単なのでリアで解説すると、スウィングアームを含めた全体系がサスペンション。バネを含めた部品がショックユニット。ショックユニットからバネを取り除いたのがダンパーです。

 以前にタイアがグリップを発揮するために必要な2つのグリップについて話をしました。そこでヒステリシスについて触れました。

 これは簡単に説明すると、変形に際して入力と出力(変形する速度と元に戻る速度)で差がある動きを言います。

 ダンパーとは路面からの入力やライダーの動きを、操縦者が望む速度にするために減衰させるのが目的です。
 媒質、この場合はサスペンション系の動きを徐々に、流束の強度を漸次的に失わせる当地がダンの役割です。簡単にいえば、サスペンション全体をダンパーで徐々にゆったり動かすという意味です。

 上で太字にした部分がダンパーの役割ですが、スーパーボールや波長は何のために説明したのかといえば、ダンパがどの様に作動するのか、オイル、ピストン、ポート、オリフィスにシムと言われても分解したことのない人には理解しづらい部分があるため、抽象性をもたせる意味から用いました。

 ヒステリシスがグリップの原点ではないか?

 減衰するだけならば伸縮の速度に違いを持たせる必要はありません。ただしタイアを路面に押し付ける時間を長く持続させるには伸び圧が5対5では具合がよくありません。

 この部分の説明は別に機会に譲りますが、昔から言われている伸びが7で圧が3程度の動きの配分が、グリップを最大限に発揮する黄金比に近いようです。

 上の数字でもわかるように伸縮で動きに違いがあります。つまりヒステリシスです。

 というわけで、今回はこれにて終わりです。減衰を少しでも身近に感じてもらえれば幸いです。

最初に読むには適した本で、割りと楽しく基本を知ることが出来ます。

少し詳しくなったなら、最新の機構にも興味が出ると思いますので、二冊目には丁度良いでしょう。 

 

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