プレミアムライン・プラスを解説
本日は千葉県東金市まで納品へ行きました。
CB1300SBのリアショック 、FGをプレミアムライン・プラスで依頼いただきその納品です。
当社のオーバーホールは通常3種類から選択いただけます。一般のお店が提供するのと同じスタンダードライン、洗浄などいくつかの作業内容を更に手を尽くします。プレミアムラインはカートリッジタイプであればシムの一枚一枚を丁寧に拭き取り、入手可能な交換部品はなるべく変えるのが基本です。
リアショックは全数で、シム洗浄を一枚一枚手で拭き取りしています。
プレミアムライン・プラスは「プラス」と付けるだけあり、追加作業があります。その内容は特別に決まっておりません。お客様と相談し狙うバイクの動き、そこから導かれるダンパーの仕様により予算を提示し、そこに向かって作業を組み立てて行きます。
今回依頼いただいたCB1300SFのFGは、私が個人所有しているヤマハBT1100Bulldogと先日完成したCB1100EXを試乗して、その滑らかな作動性と車両運動に惚れてくださり、今回の依頼に繋がりました。
オーバーホールに際し、シリンダー、ピストン、シムは新品にしました。ロッドとシリンダーは表面を当社独自の仕上げにより滑らかにしてあります。
減衰を発生させるピストンに乗るシムも組み替え、更にはコンプレッションアジャスターにあるセカンダリーピストンのシムも組み替えてあります。この減衰特性と滑らかな摩擦感を得られるピストンとロッドの効果で、艶のあるシットリとしたダンパー特性を実現できました。
ガスの圧力は、メンテナンスサイクルが早くなりますが、フワッと動く適度な値としています。それを可能にするのは極限までエアを抜けるからです。少しでもエアが入り込めば減衰は一気に不安定化し、酸化と熱がオイルを蝕みます。それを誤魔化すのに(実際は無意味なのですが)高いガス圧を必要とします。オーバーホールの期間を2年程度とする事で、とことん「今の良さ」を追求したのがプレミアムライン・プラスです。
この作業内容は他にも利点を生み出します。この度、料金は税込定価で約18万円です。部品代も入りますので、工賃としては12〜13万円となりますが、これだけ頂ければ、工賃の高い熟練工を丸一日以上、二日程度は一つのダンパーに没頭させられます。それにより、細部まで詰めた作業が可能になりお客様の満足度を上げられはずですし、これまでも実際に喜んでいただけました。
会社の利益の大きさだけを追うならば、スタンダードラインなどを1日に数セットこなす方が、より大きな利益額を手に入れられます。しかしそれだでは満足できないのが、バイク乗りです。出来るのならとことん追求したくなる、その様な方々の受け皿として超高価格オーバーホールを用意しています。
ツイッターで見かけた中に、「そろそろ『品質を上げたいので、値上げします』って世の中にならないかな?」という一文がありました。我が意を得たりとはこの事です。安いだけではなく、その行為自体に価値を見出せる、高級で上質な質感を持ち合わせたオーバーホールにより、お客様のバイクをより思い入れの深くなる、特別な一台にする手伝いをして行きたいと考えております。
普通のオーバーホールはもとより、オーバーホールの域を出たバイクを仕立て直す(リデザイン)程の作り込みを体験したい方は、ぜひ一度相談ください。