CB650Rのフロントフォークを改造

 2020年からのCB650Rのフロントフォークを改造しています。

 ジムカーナを走っている方の車両で純正に限界を感じてリアショックをナイトロンに交換し、それでもやはり行き詰まったので、当社でフロントフォークを改造するに至りました。

 以前の記事で基本特性を取り上げましたが、今回はフロントフォークを分解して実測した数値と試乗した感触を符号させてみます。

 バネ定数
 予想通りかなり柔らか目です。650ccで車両重量とエンジン出力にタイアサイズを考えると、少々荷が重いバネの値です。実測値では左右ともに0.73Kgf/mm(誤差は±0.2K程度ありそうです)でした。

左右で長さと特性が若干違っています。

 絶対に駄目な数字ではありませんが、かなり限定された使い方になりそうです。そこで今回はジムカーナという特性を考慮して仕様変更を進めます。

 ジムカーナは短い直線と、そこからキツく回り込むコーナーが多いのが特徴です。ミニバイクコースを大型車両で走るのに似ています。

 つまり短い減速区間でしっかりとフロントを入れる必要があり、そこでサスペンションが硬すぎると十分な姿勢変化を起こせないので、曲がるポイントを通り過ぎる(つまり曲がらない)ため、思ったようなタイムで走れません。

 そこでバネは0.8K以上0.9K未満を選びます。

 減衰力の調整機構を追加
 同じホンダの部品を用いてカートリッジを追加します。右に伸び減衰、左に厚減衰を発生する機構を組み込み、減衰調整とイニシャル調整が可能なフルアジャスタブルに仕上げます。

初めて分解したのですが、変わった機構でした。

 減衰は左右独立して調整できるため、街乗りでの乗り心地だけでなく、サーキットでタイムを縮めるためには極めて有効です。

 今回は初めての改造ということもあり、フロントフォークをすべて分解して採寸して今後、同様の依頼があった際にお客様に最適な助言ができるように努めています。

ブラケットとインナチューブも分解しました。

 

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