GSX-R1000RのフロントフォークO/H

 車体で預かったGSX-R1000Rですが、フロントフォークをO/H依頼でした。

特徴的な減衰調整機構。

 実はオイルシールなどの消耗品を交換するだけなら、一般的な倒立フォークとは違いがありません。むしろ減衰発生機構のオイルが出て来ない分だけ、簡単かも知れません。

 ただリザーブタンクがあるなどで作業がし辛い面もあります。

リザーブタンク内にはガスが充填されている。

 サスペンション専業の工場なので、写真のリザーブタンク内にある窒素ガスの圧力を測定し、不足している時には作業工賃内で充填を行います。

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 イニシャルアジャスターはトップキャップにありますが、正直やや回しづらいと感じます。硬貨だと小さいので専用工具が有るのでしょうか。
 かなり大きいマイナスドライバーだと良いのですが、先端が丸い形状の方が良さそうなのでとりあえずは硬貨で対応出来ます。

スプリングはシングルレート。

 バネは実測で1.075Kgf/mm(10.5Nm)でした。やや硬いもののトップアウトスプリングと減衰設定ともまとまり良く、街乗りでも評価が高いのはうなずけます。

 自分で乗るならば0.95K位のバネに交換し、イニシャルを現状より少し多めにしてもっと動きを出したほうが姿勢変化で曲がりやすくなるため、心地よいでしょう。

トップキャップを緩めたところ。
オイルはかなり汚れていました。

 減衰力とは無関係ですがオイルはかなり汚れていました。このことから、フォーク内部のオイル汚れはスプリングが原因だとわかります。つまりオイル汚れとして考えられる要因はインナーとアウター、それらと相対するスライドメタル。そして減衰力を発生するカートリッジ、そしてスプリングとインナーチューブです。

 BFFは通常、スプリングが全面でインナーと当たるので汚れの進行が早い様な気がします。この手法を改めて、バネが極力インナーと接触しないようにすれば、摩擦抵抗と汚れの2つが同時に低減できるので、改造依頼の場合では同手法を用います。

傷んだインナーチューブ。
旋盤でつかみ研磨を行います。

 インナーチューブは殆どの場合で傷みが観られます。そのまま組み付けるとオイル漏れの可能性が高いので必ずと行ってよいほど研磨作業を行います。これにより気づかない錆なども落とせるので、精度が高まります。

 簡単ですがGSX-R1000RのBFFにおけるO/H作業を紹介しました。

 金額は車体で預かり、作業工賃、部品代を含め7~8万円でした。

 

 

2 Comments

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かずreply
2022年11月3日 at 9:15 PM

ちょっと気になったのでコメントしてみます。
トップキャップにあるイニシャルアジャスターはマイナスではなく純正工具にもある一般的なヘキサゴンレンチで回せるようになっていますよ。

sgfacendocomreply
2022年12月4日 at 6:17 PM
– In reply to: かず

 情報ありがとうございます。全く気づきませんでした。

次回からはヘキサを使ってみます。助かりました。

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