NSR80の純正リアショックをO/Hしつつ、その功罪を考える

表題通り、NSR80の純正ショックをO/H依頼いただきました。

カシメ型なので一般には不可能と言われますが、当社としては通常業務で作業が可能です。

難しいというよりも工数が多いために高額になりますが、100本近く作業を重ねてきた経験もあり問題なく完成しました。

分解状態

リザーブタンクを持たないNチビの純正ショックは伸び切りのリバウンドストッパに硬質ゴムらしき材料を用いている関係で、長期間の使用でそれが粉々に砕け、リアショックが固着(リジット化)します。そのため動かない、衝撃がすごい、一度沈めると一晩たたないと元に戻らない、等の症状が現れます。NSRminiやNSF100のリアショックは仕組みが全く違うので、安心してください。

分解してリバウンドストッパのカスを綺麗に取り除き、新たなストッパを追加すれば問題は解決します。

現代でもこの車両に乗り続けている方のほとんどはレーサーにしていると思いますので、O/Hの需要はそれほど高くないでしょう。

今時は安価な社外品もありますし、オーリンズTTxのような高性能リアショックも多く流通しているため、O/Hよりは交換が良いと思いますが、それでも当時の純正のままが良い。というマニアな方もいらっしゃいますので、そのような場合には要望に応え純正もO/H対応は可能です。

純正の利点は何かあるのでしょうか?
正直、価格以外にその利点は見出せません。現代では極端に低いと言えるリアの車高は少々の誤魔化しでは対応できません。

動きに関してはスライドメタルがないために、ロッドへの攻撃性が高く耐久性と作動性はお世辞にも高くないうえに、オイル容量も少ないことから長期間の使用にも向かないし、熱容量も小さい(オイル量がすくないので)と言えます。

ただ、ツインチューブの利点であるガスがないことにより微細な入力には優しく動き出す事は唯一の利点とも考えられます。それとトレードオフ(交換条件)となるのが上に挙げたマイナス点なのですが。

ピストンの径は25mmでした。近年のカシメ型では一般的な数字です。例えばCB400F(NC36)等のカシメ型ショックも同様の寸法であり、18Kgf/mmのバネを採用するNSR50系に25mmピストンでは少々荷の重い仕事です。加圧されていないので気泡の発生も起こりやすいので、それらを含め長時間のレースなどでは減衰特性の変化が著しくなるはずです。

ピストン径は25mmでリング交換は基本不可。

その面から現在販売されているリアショックの中ではオーリンズTTxが一番理にかなった仕組みです。クアンタムの人気も高いのですが、減衰設定を上手くまとめればレース後半の作動性の変化が小さくまとめられるので、今後も当社としてはTTxでの開発を継続してゆくつもりです。

と、話題がそれましたが小さい車両のため、リアショックに十分な空間と予算を割けないNSRは非常にむずかし車両なのでその反面で挑戦しがいのある面白いシステムです。

Share your thoughts