ハイパープロ

 ハイパープロのダンパーを依頼頂き、作業を行っています。

 アフターパーツメーカーとしては珍しく、ガス室にブラダ(オイルとガスを風船のような物で分離する)を採用しています。

 この方法は抵抗が少ない代わりに、ゴムの面積が多いので透過が多く、メンテナンスサイクルが早くなる傾向にあります。ガス圧力も1~2年で半減します。逆に、フリーピストンで仕切る場合はゴムの面積がOリングの寸法以下なので、長期間ガス圧力の低下が起こりません。実測した限りではオイル漏れがなければ、10年経過でも半減しません。ですが、Oリングがシリンダー内壁と接触しているので、抵抗が大きいのが問題点となります。

 大量生産するならば、型代を払えればブラダのほうが作業効率が高いので、安価に生産できると思います。ただ、寸法変更に柔軟に対応できませんので、大量生産向けです。フリーピストンは細かな仕様変更が、街の加工業者にも可能ですが単価が高くなるので、生産数と設計思想に応じて使い分けます。当社が設計したダンパーはフリーピストンを採用しています。

 他にはロッド径16mm、圧側シムの最大径30パイ内径12パイ、伸び側シムの最大径28パイ内径12パイと、ベースセットを造るのが難しそうな寸法に感じます。TTX型ではないので、ロッド径とシムサイズを考えると圧側2系統の調整が必要になるのでしょう。

 新しいダンパーを覗き見ると新しい発想が生まれ、今後のセッティングや設計、生産に役立つので良い学習になり、楽しみです。

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