YZF-R6の印象

 昨日はYSP杉並南店様へゆき、YZF-R6のサスペンションセッティングを行ってきました。

 2017年にモデルチェンジしたそうで、だいぶ印象の違う乗り味になっていました。知人が2008年型を所有しており、それとの比較です。
低速がだいぶ力強くなり、エンジンも雑味のある回転なのですが、リミッターが効いたかのような、波形の山の部分だけは綺麗に整っており、好ましい特性です。
 ヘッドライトの形状は最近のマツダの様でこれも私の好みでした。

 本題の車体ですが、ここ最近のR1と同様にすばらしく出来の良いフロントフォークだと思いました。同じ仕組みを採用したカワサキのH2でも同様の感想も持ちましたが、このフロントフォークに対しては大抵の場合、リアショック が負けてしまいます。
 路面のギャップやパニックブレーキの様な場面ではスッと動き、速度の高いところからグッとブレーキレバーを握りこむと、減衰が程よく立ち上がりしっかりした特性になります。これは構造が良い悪いと言うよりも、スプリングレート、油面、シム組の合わせ技で可能となります。ここ最近のKYBはかなりレベルが高いです。

 反して、リアは古くからある普通の動きです。ダイアルを締めると動かなくなり緩めれば締まりのない情けない動きをします。ただ、フロントとの相対比較でそう感じる面も多く、単体で考えればこれまでのメーカー純正ショックとしては、良い方に入ります。

 純正状態の純正タイアで試乗しました。前後共に柔らかく動くセッティングです。リアはプリロードの値は悪くない様ですが、減衰が不足気味で収まりが悪と感じます。伸びも圧も少しだけ強め、数度の確認のうえ、ダイアル段数で1〜3段程度の変更で決まりました。

 フロントは少々考えましたが、沈み込みの量が大きく少し速度が乗ったブレーキでお辞儀をする感覚であったため、プリロードを徐々に強めてゆき、出荷状態から1と2/3回転強めました。そのままでは強くしイニシャルがフォークの沈み込みを悪くするために、圧の減衰を3クリック抜いて様子を見たところ、かなり良い動きになりました。この辺りは好みもありますが、±をご自分の好みで調整して頂きたいと思います。
 伸びの減衰も1段強めましたが、ほんの少しの変化が体感には大きく効きます。

 全体としては良く出来た車体に、良いサスペンションだと感じました。サーキットだけを考えると前後共に少々スプリングレートが不足している様な気がします。これに関してはタイムや使い方、コースで変わりますし、もっと詰めたセッティングで解消できるかも知れません。
 私がこの車両でサーキットを走るなら、フロントはスプリングだけ交換し、リアはスプリングと減衰の設定変更を施し、予算があればリアショック は交換したい。といった感想です。

 これまでの600ccからすれば、とても乗りやすいバイクになったと思います。ここ最近のバイクに共通した傾向ですが、着座位置が前に寄りすぎて、バイクの操作に対して適切ではない場合が増えています。特にR6は2006年型からずっとこの傾向が続いています。体の小さい方も楽なポジションを取れる様に考慮しているのか、ライディングの自由度を上げようとしているのかは計りかねますが、皆様も色々なポジションを試してご自分がちょうど良いと思える調整を試してくだされば、よりバイクが楽しくなるはずです。

 

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