NSR250Rのリアショック
最近は仕事の依頼も多くないので、過去の溜まった仕事を消化しながら作業を進めております。
今日のお題はNSR250Rのリザーブタンク無しダンパーです。シリンダーは46mmと大きなサイズを使い、アフターパーツの品と比較しても引けを取りません。別体のリザーブタンクはありませんが、内部にはしっかりとガス室がブラダ(ゴム風船のような部品)で仕切られており、性能は安定しています。
しかしエア抜きが通常では行えないため、設計値の動きをしているとは言いがたく、そこに対して常に不満を持っていました。
数年前にこの形状のダンパーのエア抜きをどうにかならないか?と知恵を絞り、色々な仕組みのダンパーから着想を得て、エア抜きができる仕組みを完成しました。
この加工には追加料金がかかるので、全てのお客様に提供している訳ではありませんが、NSRの様に思い入れの強い方が多い車種は、施工する割合が多いように思います。
エア抜きが(ほぼ)完璧に行われたダンパーはとても不思議な感触です。しっかりとした動きなので、走ると硬いのかと思わせますが、その実は走り出せば路面のギャップをスルスルといなして行きます。これには理論的な背景がしっかりあります。私は実践感覚派なのですが、ダンパーメーカーに勤める友人がその辺りの計算を行い、なぜ前述のような不思議な動きが起こるのかを解き明かしてくれました。
逆にエア抜きがしっかりできていないダンパーは、またがるとフワフワするのに、走り出すと硬いという、なんとも迷惑な代物に成ってしまいます。
良質、上質な乗り味を追求するならば、ダンパーのエア抜きは必要条件であり、それら諸条件の上にセッティングや仕様変更が成り立ちます。
お客様におかれましても、一度その完璧に近いエア抜きを体験して頂ければ、バイク(四輪)が更なる面白みに満ち溢れていると知れ、もっとバイクが好きになると思います。