高速域のセットアップ
長くかかりましたが、低速域で決めたセットを、高速域でも合わせていく手順を書き記します。
低速域のセットアップでバランスを取った後、今度は速度を上げコーナーを通過します。その時、低速では綺麗に回れたのに、高速になったら外に孕んだり、内側へ寄ってしまう場合は前後の動的車高が変化した結果と結論付けます。
最初に外へ孕む場合ですが、入り口で寄れないか、パーシャルの待ちや、出口で外へ向かうかを判断します。外へ向かうのは極論すれば前が高い(後ろが低い)から起こる現象です。
内へ寄ってしまうならば、逆に前下がり(後ろが高い)からです。それらはばね定数、プリロード、伸び圧の減衰が渾然一体となり生み出す現象です。その現象を分解して感じ取る(ライダーから聴き取る)能力がセットを決めるには必要となります。
話を単純にするために、フロントだけを述べます。入り口で寄れない=前が高い=ばね定数が大きいか、プリロード過多、または圧の減衰がきつい。そのいずれかを柔らかい方向へ振れば問題は解決します。ここで突き出しを変えるのは無しか?と疑問が浮かびますが、低速域のセットで車高は合わせてあるので、この段階では選択肢に入れません。仮定としてプリロードに問題があったとし、それを抜き問題を解決した場合、当然前下がりになるので、低速域で前が入ることが考えられます。その時は突き出しを減らし前をあげます。そこでまた高速域を試し問題が出ないかを確認し、あれば再度同じ作業を繰り返します。
一回で決めるのは至難の技なので、同じ作業を繰り返しその調整幅を狭めていけば、望んだセットを手にすることが出来るはずです。
結局は驚くような解決策は無く、地道な作業を繰り返す事が、人間の能力を高め、その結果セッティングに悩むことが減ると思います。