KLX250(Dトラッカー)XR250(バハ)のリアショック

一般の方には題名にした車種の共通点はオフロード車両くらいしか思いつかないかもしれませんが、リアショックのO/Hを主な仕事にしている私には、兄弟車種かと思うほどにリアショックは似通っています。

ピストンとロッド径、ピストンリングなどは同じと言って良いでしょう。

同じKYBが製造している点で似ていて当然ですが、部品の寸法や使っている品が同じ。違うのは長さや縁度合いの寸法とバネ定数程度(もちろん減衰設定も違う)です。

バネ定数が違うため、減衰設定は当然違ってきますが、その対処法は積層バルブ(いわゆるシム)の積み方による物です。

実は車種によって基本形は同じでも、細かい切り欠き(スリット)なので減衰特性に幅を持たせる事もありますが、根本となる形状は同じです。

ロッド径14mm、シリンダー径(ピストン径)44mmと重要な寸法は同一で、ブラダと呼ばれるオイルとガスを分離する部品も同形状です。

減衰調整のニードル部分に関しても同じですが、ニードル先端をKYBは交換可能にしており、詳細な角度を測定しないため、そこに関しては言及いたしません。

取り付け下部(ロア側)も形状こそ違えど仕組みは同じです。

組み立て方。

ご覧のように調整ダイアルが横にあり、マイナスドライバで変更可能です。ここはサスペンションが沈み、バネの反力で伸びようとする力を調整可能です。

コンプレッションアジャスタは着脱可能ですが、基本的には分解できないようにポンチでかしめられています。不用意に外すと壊してしまうので、しっかりとした手順で進めなければなりません。

アジャスタは環状隙間型ではなくバネに圧をかけて減衰を強くする仕組みです。

過去に一度だけですが、上の写真中央の真鍮部品が欠損(新品からなかった)しており、メーカー保証で送り返した経験があります。その際はO/Hの仕事がなくなり、商売としては損を被りましたが、状況を正確にお客様に伝えて、必要な措置を講じました。

写真中央のダイアルでサスペンションが沈む速度を調整可能です。このような説明は不要に思いますが、案外サスペンションを触った事がない方も多く居て、どのような役割なのか知らない場合もありますので、冗長に思えても都度解説する必要があると考えています。

と言う訳で、ざっとKYBのKLX/XRに採用されているリアショックについて触れました。それではまた次回。

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