DR-Z400S ノーマルサスペンション 評価

DR-Z400S ノーマル・サスペンションを走らせてみて

前回の記事では、DR-Z400S(4S)のローダウン車両が入庫した時点で、あえて「数字」と「先入観」から純正サスペンションの性格を予想しました。今回はその続きとして、実際に完全ノーマルの状態で試乗し、足まわりがどう感じられたのかを整理してお伝えします。ローダウン前の“素の姿”を評価することは、その後のセッティングや加工の方向性を決めるうえで、非常に重要なステップです。

足つき確認の動画はこちらをご覧ください


新車ゆえの条件付き評価

まず前提として、このDR-Z400Sは新車で、納車前にお預かりした個体です。
ブレーキパッドの当たりもまだ十分ではなく、フロント周りには「新品特有の渋さ」が残っている段階でした。そのため、特にフロントフォークに関しては、現時点のフィーリングに一定の“保留”をつけておく必要があります。

それでも、街中の低〜中速域を走らせた限りでは、フロントスプリングのレートは「おおむね妥当」といった印象でした。
初期の沈み方はある程度素直で、ブレーキを当てていったときに必要以上に突っ込み過ぎる感じもない。サグの入り方も、体重70kg前後のライダーであれば許容範囲に収まっているように思います。ただし、ハードなブレーキの使い方をしていないため、ボトム付近の動きは現状では不鮮明です。この辺りは分解時にバネと油面を測定することで、踏み込んでみます。


リアショックは“ワンランク上の体重”向け

対照的に、リアショックは明確に「硬め」です。
体重70kg前後の自分が乗ると、動き始めの一歩目からやや腰高な印象が強く、路面からの入力を積極的にいなすというより、「乗り手が上から押さえ込んでいく」側に寄っている感触でした。

30〜40km/h程度の速度域で、軽くブレーキを当てながらコーナーに入っていくと、
・フロント側の沈み込みが先行しやすい
・結果として、フロント軸まわりで旋回をこなしている時間が長い

こうした挙動が分かりやすく出ます。
裏を返せば、リア側は80〜90kgあたりを想定したスプリングレート・イニシャル量になっている可能性が高く、「しっかり載せられる人にはちょうど良い」設計とも言えます。


イニシャル調整だけでも“別のバイク”になる余地

救いと言うべきか、さすがスズキと言うべきか、DR-Z400Sのリアはイニシャル調整幅が比較的大きく確保されています。

純正状態のままでも、
・リアのプリロードをしっかり抜いて
・ライダー+装備重量に合わせてサグ量を取り直す

この2点を行うだけで、前後バランスはかなり改善できそうです。
現状は「前:普通〜やや柔らかめ、後:明確に硬い」という構図ですが、リアのイニシャルを適正化することで、
「前:素直、後:しなやか寄り」
という、オフロード系として好ましい領域に近づける余地が十分にあると感じました。


フルアジャスタブルゆえの“伸びしろ”

もう一つ、DR-Z400Sの大きな長所として、前後ショックの調整機構が挙げられます。
フロントのイニシャル調整のみ非搭載ですが、それ以外はフロント・リアともに減衰はフルアジャスタブルです。

・フロント:減衰力調整により、初期の入り方〜中間の粘りを追い込める
・リア:プリロード+減衰の組み合わせで、「腰高感」と「動きのしなやかさ」のバランスを詰められる

このあたりを丁寧に触っていけば、
「まずはノーマル車高のまま、サスだけでどこまで気持ち良くできるか」
を検証する価値は十分にあります。

今回はあくまで“完全ノーマルの素の印象”に留め、具体的なクリック数やプリロード位置には触れません。
近いうちに、実際にセッティングを詰めたうえで、
・どの方向に振ると良くなったのか
・ローダウン前提の調整と、そうでない調整の違いはどこにあるのか
といった「数値の方向性」を、改めて報告する予定です。


ローダウン前提の“調整幅”について

今回のテーマはノーマル評価ですが、ローダウンを視野に入れている方が一番気になるのは、
「セッティングだけで、どこまで“事実上の下げ”が稼げるか」
という点かもしれません。

実際、
・サグ量を適正化する
・リアのイニシャルを抜き、フロント側との“等沈み”を意識して姿勢を整える

これらを行うだけで、カタログ上のシート高は変わらなくても、「跨いだときの実効シート高」は数mm〜1cm単位で変化します。

次回以降の記事では、DR-Z400S の
・ノーマルセッティングでの姿勢
・調整後にどの程度“足つき感”が変わるのか
・そこから先、どこからがローダウン加工領域になるのか

こういった点も含めて、整理してお伝えするつもりです。


セッティング・ローダウン相談について

DR-Z400S に興味がある方、すでに購入されていて「まずはサスペンション調整でどこまで良くなるか試したい」という方、あるいは本格的なローダウンを含めて検討したい方は、次回以降のレポートをお待ちいただくと同時に、直接のご相談も歓迎します。

  • ノーマルのまま、セッティングだけでどの程度安心感が変わるか知りたい
  • ローダウンせずに済むのか、それとも加工を前提に考えるべきか判断がつかない
  • 自分の体格(身長・体重)で、現実的な下げ幅がどれくらいかを知りたい

こういった「入り口の相談」に対しても、できるだけ具体的なイメージをお返しします。

お問い合わせは、下記からお願いいたします。

電話番号:090-3316-5306
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問い合わせページ:https://sgfacendo.com/contact/

※メーカー保証に関しては取り扱い店、ディーラーにより対応が異なるため、購入店またはお取引のある店舗へご確認ください。

セッティングだけで済むのか、本格的なローダウンに踏み込むべきか。
その分かれ目を一緒に見極めるところから、DR-Z400Sの足まわりづくりを始めていければと思います。

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