車両運動を司る根本原理、というか制約
今回は動画で話す内容を下敷きに、動画と連動して文章でも伝えてゆきます。
初回は概要、セッティングは何が大切か
セッティングと言えば車両ばかりに目がゆく、だがポジションを含めた人間工学、生理現象が大切である。それはバイクや車は人が乗るからである。
例えば、乗用車がなぜあの様な形なのか?中心に人間を座らせるべきなのにオフセットしているのは、乗員の数を増やしたいからである。居住性を考えると前後にエンジンを配置し、左右に1名づつ座らせるのが空間効率の面で有利である。
リアエンジンかミッドシップであるなら、中心に人を配することも(FRにおいてプロペラシャフトを通さないで済むので)可能であるが、それをしないのは、最低でも二人乗りをさせたいからである。
それ以外ではハンドルがオフセットされていると、ステアリング関連の部品が等長にならず、必ず無理が生じるためハンドル操作で左右差をなくすのは難しくなる。
結論は、人が乗ることを前提として、車両は必ず人間工学と生理現象を前提としたセットアップを考えなければならない。
反対に、車両の事だけを考えたセッティングは意味をなさない。そこには車両毎の最良はあっても普遍性がなく、そのセッティング術は限定的にならざるを得ない。
人間基準のセッティング(それはつまりある個人を想定しても良いのだが)とは、一度身につければ自分の乗る車両の最良を短時間で見付けられるようになる。
私自身が実践しているように、人間基準を採用すれば多くの人に対してセットを当て嵌められるようになる。もちろんそれは限定的であるが、より大きな普遍性を得られるようになる。
次回からは動画に頂いたコメントにヒントを得て、ドカティの搭載するL型エンジン(要するにVツインの変形搭載型)を題材にクランクセンターとクランク長が車両に対しどのような制限を及ぼすのかを考察して行きます。