スプリング製作
バネ製作の依頼が増えてきた理由
ここ一年ほど、「この寸法、このレートのバネを作ってほしい」という相談が目に見えて増えてきました。
きっかけは、おそらく私自身がブログや動画の中で「減衰力よりも、まずバネだ」と何度もしつこいほど書いてきたからだろうと思います。便利なダイヤルや電子制御の陰に隠れがちなスプリングに、もう一度光を当てたい。その意図は、少しずつ伝わってきているようです。

56レーシングで学んだ“バネの現実”
バネの重要性を頭ではなく“骨身で”理解したのは、約10年前、56レーシングで名越哲平選手を2年間担当したときでした。
その後、埜口遥希選手とも2年間を共にし、さらにクラスアップした彼らと対話を続けるなかで、「速さの裏側にあるセッティングの本質」を教えられました。
ラップタイムがコンマいくつ動く度に、何を変えたのか、なぜそう感じたのかを選手と擦り合わせる。そこで最後まで残り続けるのは、やはりバネでした。
減衰は後からでも合わせられる。しかし、根本となる“姿勢を作る器”を間違えると、どれだけクリックを回しても帳尻が合わない。レースの現場は、それを容赦なく突き付けてきます。
バイクの姿勢を作る“根幹”はどこにあるのか
もちろん前提として、車体設計やフレーム剛性がしっかりしていることが必要です。そのうえで、バイクの姿勢を決める根っこはどこかと問われれば、私は迷わず「バネです」と答えます。
どこまで沈むのか。どの高さで踏ん張るのか。フロントとリアが、どの割合で揃って動くのか。
これらはすべてサグ(イニシャルまたはプリロード)とスプリングレートの問題であり、その“器”が決まって初めて、減衰力の仕事が生きてきます。逆に言えば、器を外したまま減衰だけをいじり回しても、しっくり来ないのは当然です。
減衰ノブよりも先に“バネを疑う”という作法
街乗りからサーキットまで、多くのライダーはまずダンパーのダイヤルに手を伸ばします。硬いから弱める、揺れるから強める。
それ自体が間違いというわけではありませんが、「そもそも、そのバネでその体重、その使い方に合っているのか?」という問いが抜け落ちやすい。
そうした危うさを感じてきたからこそ、私はブログや動画で繰り返しスプリングの重要性に触れてきました。
結果として、「売っていないレートが欲しい」「市販のラインナップにちょうどいいものがない」という方から、バネ製作の相談をいただくようになったのだと考えています。

市販にない寸法・レートのバネを作る意味
既製品のラインナップは、どうしても“最大公約数”の設計になります。
しかし、体重・走り方・タイヤ・ステージが変われば、欲しいレートや自由長は微妙にズレていきます。そのズレを埋める最後のひと手間が、「売っていないバネを作る」という選択肢です。
ただし、特注スプリングは魔法の杖ではありません。
きちんと狙いを定め、サグ値・前後バランス・車高との関係を整理したうえで初めて意味を持ちます。だからこそ、単に「硬くしたい」「柔らかくしたい」ではなく、「どんな場面で、どういう動きにしたいのか」を一緒に言語化していく作業が重要です。
ご相談について
バネの重要性をもっと知りたい方。
あるいは、市販では手に入らない寸法・レートのスプリングを必要としている方は、一度ご相談いただければ幸いです。お話を伺ったうえで、本当にバネから手を付けるべきかどうかも含めて、率直にお伝えします。
ご相談・お問い合わせは、下記の連絡先から承ります。
電話番号:090-3316-5306
LINE ID:@llv7594i
問い合わせフォーム:https://sgfacendo.com/contact/
バネを替えるというのは、単に“硬さ”を変える行為ではありません。バイクそのものの立ち姿と、走りの骨格を組み替える作業です。その意味を共有しながら、一緒に最適な一巻きを探していければ幸いです。
