2020年型ZX-10RのリアショックO/H
フロントフォーク対して、リアショックの仕上がりは秀逸と言えます。街乗りからサーキット走行(一般人の水準)まで何の問題もなくこなします。
スプリングレートが適正なのが一番良い点だと思いますが、減衰力も過不足なく良い基本設定で、大半の方はダイアル調整で好みに仕上げられるはずです。
その反面、新車から乗り続けている方はリアの接地感が薄いと感じるかも知れません。その原因はフロントにあります。
突き出し量が大きく硬いバネを採用する純正フォークは前下がりの姿勢です。リアのイニシャルを抜いたとしてもリアタイアへ荷重を載せるのは難しい作業です。
そこでフロントのバネを適正値にして突き出しを減らすと、リアの負担率が上がりタイアからしっかりとした接地を感じ取れるようになります。
動画でも取り上げているのですが、問題はフロントのバネであり、ソレを変更するだけでリアの良さが活きてきます。
オーリンズのTTx,FGのFFXそれにSHOWAのBFリアショックに代表されるツインチューブは、動きの滑らかさが際立ちます。上手に作ればとても気持ちの良い乗り心地を演出可能です。
最新型の10Rに乗る機会はまだ訪れていませんが、一度試乗して前後ショックの進化を体験してみたいと考えています。
ツインチューブ型のリアショックは、旧来と違いロッドの中心に穴を開ける必要がなくなり、その分剛性を確保できるためにどのメーカーも一段細い寸法を採用しています。それも抵抗を減じ動きの良さにつながっているようです。
15年近く前のMotoGP車両のリアに採用されていたTTxはシャフト径が12mmに(写真からは)見て取れました。それだけ抵抗を減らしたいのだと思います。
オーリンズやFGは14mmシャフトですが、写真のSHOWAは12.5mmなので社外品メーカーに負けない良さを持っています。
なぜ12.5mmなのかといえば、古くはアメリカやイギリス1/2インチサイズ(12.7mm)を模して12.5となり、それが現在のツインショックでも使われ続けており、新規部品の開発が不要であるから選ばれた寸法だと推測します。
という訳で今回の記事はここまでですが、GSX-R1000Rを含めBFF,BF機構は良い仕組みだと思いますので、当該車両でサスペンションに不満の在る方は一度相談して頂ければ、仕様変更で大幅に良くなると思います。