倒立フォークのインナーチューブを修正

 他店で作業した倒立フォークがオイル漏れを起こし、それを修理して欲しいとの依頼がありました。

 オイル漏れは一般的なインナーチューブとオイルシールからではなく、インナーチューブとブラケット(ブレーキキャリパやアクスルシャフトの取付部)からでした。ここから漏れる原因は割りと単純で、組付け不良やOリングを傷めているなどが大半を占めます。

 または、しっかりとした治具がないために締め付け不良で緩みオイル漏れ。という場合もままあります。しかし今回は分解して観ると様子が違っていました。

穴が開いている。

 写真を見れば分かる通り、穴が空いています。これは分解時の養生作業の一貫でドリルを用いるのですが、それが過ぎで穴を開けたようです。

 当社でも同様に穴を開けてた事例はありますが、しっかりと塞いでオイル漏れを防ぎました。しかし今回ほどがっちり穴が空いているのは珍しい。

 その対策方法もシリコンシーラントで塞ぐといった、おおよそ玄人の仕業ではありません。

 そこで今回は過去に成功した手法で穴を塞ぎます。簡単な話で肉盛り溶接をしてネジ山を修正するだけです。逆に、普通はそれが難しいのかもしれません。インナーチューブは薄肉ですし、ネジ山を切るのは練度の低い旋盤工にはやや難易度の高い加工です。

 というわけで、とりあえずずさんな作業で傷んだネジ山を修正しました。これも旋盤のねじ切りで、不要なカス(主にブラケットから分離して固着したアルミ)を取り除きます。

固着したアルミが沢山みえます。

 M41P1.25のネジピッチです。この大きさになるとダイスは特注になりますし、かなり高額になるはずで、普通では手が出ません。そのため旋盤作業となります。

同じ角度から撮影。

 旋盤作業で不要な部分を取り除いたので、この後は溶接に入ります。

 またその作業が終わり次第、当記事内で続きを書きますのでお待ち下さい。

 

 

 

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