ZF Sachsのショックをオーバーホール
メルセデスのE320のショックをオーバーホールしました。
四輪のショックは基本的にお店経由でしか受け付けておりませんので、ここではその概要だけ伝えます。
基本となるピストンのデザインは秀逸です。これに似た改造を施したショック、二輪車ではありますが乗った経験があります。非常に滑らかな入力応答をみせ、快適な乗車感覚でした。
もちろんシムなどの重ね方による減衰特性は重要ですが、それ以前にピストンの形状は大切です。
ピストンリングは価格を抑えるためか、安っぽいのですがこれは改造すれば簡単に高性能品を取り付けできますので、問題に成りません。
ロッド系は∮22ですが、この太さを採用する場合は大抵、応力が強く掛かるマウント形状に用いられます。
このくらい太いとかなりの重量となるため、BMWの5シリーズF10の純正ショックでは中空構造を採用し、軽量化と剛性を両立していました。
基本的構造はシングルチューブなのですが、レベライザーが備わっているためガスなどで圧力を掛けません。多分専用のポンプかフェラーリ456GTの様なステアリングと連動しているのでしょう。
そのためオイル漏れの検査が必要となります。そこで簡単な治具を制作し、ガス圧力で確認を行います。
気体のほうが分子が小さいので、液体で確認するよりも間違いがありません。そのため、レベライザを備えたショックは写真の様な治具を制作し、ガスの圧力で漏れ検査を行います。
購入からそれ程、走行していないようですが、かなり汚れていました。ピストンリングが密閉性のみを目的として、ピストンが全面摺動する(摩擦材が無いので傷みやすい)ためです。
写真の様に綺麗にして組み付けました。超音波洗浄機と手洗いを併用します。
ナットはトルクレンチを用いて、しっかりと全数確認を行います。
写真のようなホースバンドで動かないようにカバーを固定します。純正はカシメ型のガッチリした仕組みですが、通常は流通しておらず、安くて早い手法で対応しています。
とても面白い形のロアマウントです。ボルト二本で留めるようですが、相対する車体側の形状がどの様になっているのか知りません。興味をそそられます。
写真のした部分は自在に動くので太いロッドを合わせて考えると、多分ストラットのような構造だと推測します。
とい訳で簡単にザックスの中身を紹介しました。
ザックスやビルシュタインのO/Hを希望される方は、販売店や修理工場を通してと言わせ下さい。