マルゾッキのツインショック色々
マルゾッキは多様な種類があるので、現物に合わせて加工が必要です。
殆どの型はオイルシール交換型なのですが、70年代後半から80年代に掛けてのドカティに採用されていた形状では、オイルシールホルダの一部を塑性変形によるはめ込み(カシメ)で造られている物のあります。
旧車に用いられているマルゾッキは基本的にガイドブッシュがありません(これはKONIにも共通しています)。
このままだとロッドを保持しているガイドが、ロッドを早く削り取ります。 そのためここにベアリング(ガイドブッシュ)を入れるための加工を行います。
鋳造という手法で造られていますが、これは溶けた金属を型に流し、冷まして形にします。そのため内部に気泡が残り、それは巣穴と呼ばれます。
これくらいの年代は工法がまだ未熟であり、写真の品は巣穴が多いようです。割れたりしないか注意しながら加工を進めます。
この加工を施した後のリアショックは、手で押しただけで動きの違いが分かる程です。これが実車に取付けられて、大きな負荷を受けた場合は、その違いは歴然です。強い力がかかった状態で滑りが発生すると、金属同士の場合は摩擦抵抗が大きいので動き出しが重く、微小な入力に反応できず結果として乗り心地も悪化します。
そこで上のような加工により微小入力でも反応できるようすると、小さな路面の凹凸にも追従するので、良路のように感じられます。
ダンパのような動く部品は極力、小さな動きに反応させ硬くしたいのならばバネや減衰で狙った部分の動きを止めると、走安も快適性も向上します。
という訳で私は今日もガイドブッシュ加工に勤しんでおりました。