ダンパーの本当の姿

 友人が書いた技報(テクニカルレビュー)を基に、ダンパーで起きている現象を解説します。

 サスペンションは大きく2つの要素があり、1つ目はバネで2つ目は減衰装置です。前者は言わずと知れたバネなので理解は難しくありません。

 後者の減衰装置の役割といえば、サスペンションの動きを狙ったようにユックリと動かすことにあります。バネだけではいつまでも揺動するために、それを狙った時間内に収束するのです。なぜその必要があるのか、2つの理由があります。

 一点目はいつまでもバネの動きが収まらないと、フワフワして乗り心地が悪いのに加え、二点目として沈んで伸びてを繰り返すとタイアに載る荷重が安定せずに路面を掴みづらく危険だからです。

 路面状況は多様で、ユッタリと大きく動く場合と小さく細かく振動する場合に大別出来るのです。といっても両者の間で様々な中間域が有ることは言うに及びませんが、ここでは理解を助けるため両極端に考えます。

 ダンパーが動かなくなる
 減衰を発生するダンパー、またはショックアブソーバは特に微小入力(つまり小さく細かい)下では設計どおりに動きません。

 ではどの様に動くのか?部材の摩擦抵抗だけに留まらずオイルの材質、通路の形状など複合要素により粘性(減衰)であるべきショックが弾性(バネ)化します。これを粘弾性体と呼びましょう。

 粘弾性体になると(というか現実世界では成っている)微小入力条件では設計通りのストロークをみせずに、硬くバネの様に反発するかのごとく振る舞います。

 これはグラフでもはっきり特性を確認でき、本来は伸び縮みで同じ動きをみせるべきグラフの線が応答遅れを起こしてヒステリシスをみせます。

 これを解消すれば良路走行時の高周波条件、感覚的にはビビるような動きが改善し、例えば高速道路のつなぎ目が連続するような条件でかなり乗り心地が向上します。

 この様な技術情報を得ると、各部の精度や作りを見直してダンパ性能をより向上させるために残された手段を考えるようになりますので、やはり確かで有益な情報は手に入れたいところです。

 ところで何を言っても先ずはバネの適切な硬さ、イニシャルと車高を決めそこから減衰を詰め、最初のバネに戻るを繰り返してゆくとより高い水準にたどり着きます。

 根本を忘れないようにしたいですね。

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