サスペンションセッティングの本質
目次
- サスペンションの重要性とその本質
- 減衰力とスプリングの関係
- 高額な改造の失敗事例
- 正しいアプローチとは
- まとめ
1. サスペンションの重要性とその本質
常々私は言っておりますが、サスペンションで最も重要なのはスプリングです。この選定を間違うと、どれだけ優れた減衰力を発生させても、良いバイクには仕上がりません。スプリングはバイクの乗り心地や操作性に直結する部分であり、適切なレートを選ぶことが非常に重要です。
2. 減衰力とスプリングの関係
なぜスプリングが重要なのかというと、減衰力はスプリングに対して働くからです。スプリングの特性を無視して減衰力だけにこだわると、バイクの動きが不自然になり、結果として性能が低下してしまいます。減衰力はあくまでスプリングを補助する役割に過ぎず、そのバランスが崩れると、バイクの挙動に悪影響を与えます。
そしてその状況、その人、sの環境にあったスプリングレートを選択したうえで最適な減衰力を提供できれば、とても素晴らしい操縦安定性と乗り心地を提供可能となるのです。
3. 高額な改造の失敗事例
過去に高額な費用を費やしたにもかかわらず、まったく改善されていない車両を調整した経験があります。一番問題だったのは、お客様が感じていた不満点が一切解消されず、40万円以上の改造費が費やされていたことです。私の判断では、フロントフォークスプリングのレートが合っていなかったことが最大の問題でした。この問題は、スプリングを適正なものに交換することで解消できたはずです。
4. 正しいアプローチとは
ケインズの言葉に「厳密に間違うよりも、漠然と正しい方が良い」というものがあります。サスペンションも同様で、細かい部分にこだわりすぎると全体のバランスが崩れることがあります。特に半端にサスペンションの知識を持つ人は、減衰力ばかりに気を取られる傾向がありますが、これは間違ったアプローチです。バネを交換することは比較的簡単で、しかも大きな効果が得られるため、まずはスプリングの選定に注力するべきです。
5. まとめ
本当に良いバイクに仕上げたいのであれば、サスペンションシステムを丸ごと交換して高額な費用をかけるよりも、スプリングをひたすら試して、自分とバイクに合った適正レートを見つけることが得策です。その上で、システム全体を見直し、必要であれば交換を検討するという順序が最も効果的です。ぜひ参考にしてください。