オーリンズのリアショック オーバーホールの注意点

オーリンズO/Hの「要注意ポイント」——純正を加工して戻せなくなる前に

動画でも触れましたが、オーリンズのショックアブソーバーをO/H(オーバーホール)する際に、純正部品を“加工”してしまう事例が見受けられます。ここでは、その何が問題なのか、実例を交えて注意喚起します。


何が問題?—「純正指定」を外れるリスク

オーリンズではO/Hにあたり、純正部品と純正オイルの使用が推奨・指導されています。
ところが、純正外の部品やオイルでO/Hを行ったり、純正部品を旋盤加工して別メーカーのシールを流用するケースがあります。

写真はダストシールをオーリンズ→SHOWAへと改造して取り付けられた状態

  • その場は動いても、設計通りの性能(初期作動・摩擦・耐久)が出ない可能性
  • 後日当社にて正規状態へ戻す際、「元に戻せない」→純正ASSYを丸ごと交換になり、余計な費用・納期が発生

実例:Ducati S4RS(オーリンズ)

今回お預かりした Ducati S4RS のリアショックでは、
シールヘッド(オイルシール/ガイドブッシュを収める基幹部品)のダストシール座面が旋盤で削られ、SHOWA用ダストシールが入る寸法に改変されていました。
この改変により純正仕様へ戻せずシールヘッド一式を新品交換
また、使用オイルも色味からSHOWA系と推定され、オーリンズ本来の味付けから外れている可能性が高い個体でした。

※正規品以外の使用=即“致命的不良”とは限りませんが、**「狙った性能が出ない」「後戻りが高額化」**という現実的な不利益が生じます。

 

今回はオイルもSHOWA製になっていました。


依頼前に確認したいチェックリスト

  1. O/Hで使う部品はオーリンズ純正か?(シール、ブッシュ、シールヘッド等)
  2. オイルはオーリンズ指定か?
  3. 純正部品の加工・他社流用を行わない方針か?
  4. 将来の再O/H(戻し)を前提にした作業か?(再入手性・再現性)

この4点をショップに事前確認されることを強くおすすめします。


当社の対応方針

  • 以前は多様なブランドを手掛けていましたが、正規部品が正規ルートで入手できないメーカーについては、現在はお受けしていない場合があります。
  • 現在の主軸
    • 車両メーカー純正ショック:SHOWA/KYB/OHLINS
    • 社外品OHLINS/FG を中心に対応
    • 旧車系:Marzocchi/KONI、および Z1/CB750K などの古い純正は、適正な加工設計を施すことでO/H対応(※“戻し”可能な方針で設計)
  • いずれも、将来の再O/Hを見据えた作業(正規品ベース/再現性重視)を取ります。

まとめ

  • 純正の加工流用は“戻れない道”になりやすい。
  • 正規部品+正規オイルで、設計者の意図どおりの性能を守ることが、長期的には最も安上がりです。
  • 依頼前の4項目チェックで、将来の余計な費用・時間を回避しましょう。

まずは無料相談(O/H可否の判定だけでもOK)

「自分のショックは正規で直せる?」「過去に加工歴がありそうで不安…」
ご相談は無料です。写真添付や現品確認のご案内も可能です。

お問い合わせ(メール不要)

パーツ状況や仕様によっては、**最適な手段(O/H・リプレイス・設計見直し)**をご提案します。無理に作業を進めることはありません。納期・費用感も事前にお伝えします。

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