古いオーリンズのフロントフォークの注意点 Ducat S4RS

旧型ÖhlinsショックのO/Hで“ここだけは外せない”注意点と、今回の作業メモ

大阪のお客様から預かったドカティ・S4RS、先に現車セッティングを確認→ベース把握を済ませ、O/Hと同時に前後のシム組を微調整しました。以下、旧型Öhlinsで壊しやすい/見落としやすいポイントと、今回の作業内容をまとめます。


旧型Öhlinsで起こりがちな不具合と対処

1) コンプレッションアジャスターのOリング劣化

  • 症状:Oリングのひび割れ→オイル漏れ
  • 対処:分解清掃のうえOリング交換。20年以上前後の個体が多いため、ゴム類は原則総替えが安心です。

2) クリック機構の2mm鋼球を紛失しやすい

  • 症状:調整クリックが消失/節度がなくなる。
  • 注意:分解時に2mmの小球が飛びやすいので保管・復元を厳重管理します。

3) 伸び側(テンション/リバウンド)アジャスターは非交換部位

  • 要点:ここは部品単体交換不可
  • 予防注油・グリスアップをこまめに。動きが渋くなる前に定期メンテが必須です。

4) プリロード(イニシャル)アジャスターの固着

  • 症状:グリス切れで回りが渋い/固着
  • 対処完全分解→洗浄→グリスアップ滑らかな操作感を復元。

💡 当社のフルメンテ(=プレミアムライン)では、可能な限り完全分解・洗浄・再潤滑を実施。
ゴム類・摺動部・クリック機構まで総点検します。


「非純正加工」への注意喚起

過去にもお伝えしましたが、O/H時に純正設計を加工してしまう事例(特にリアショック)が見受けられます。

  • 例)他社ダストシールを使うためにシールヘッド外径を削る
  • 結果)純正復帰が不可シールヘッド丸ごと交換が必要=余計な費用発生
    Öhlinsは純正パーツ&純正オイル指定が基本。依頼先に純正準拠かどうかを必ずご確認ください。

今回車両の作業方針とセッティング

O/H前診断(現状把握)

  • スプリングレート前後とも妥当
  • 減衰設定全体にやや強すぎ
    • サーキット専用なら:レートを一段上げ、減衰は維持も選択肢。
    • 今回のご要望(街乗り〜サーキットまで幅広く):減衰の有効域を広げるため“少し抜く”方向へ調整。

実施内容

  • 前後ショックO/H:分解・洗浄・消耗品交換・作動確認。
  • シム組の微調整初期追従性+収束のバランスを取り直し。
  • クリック機構・プリロード部:分解洗浄・潤滑復元。
  • ゴム類:経年を踏まえ優先的に交換

仕上がりの狙い(街乗り〜スポーツの両立)

  • 初期はしなやかに段差をいなす
  • ブレーキ〜旋回〜立ち上がり収束はしっかり
  • クリック有効域を広げ、環境やコースで振れる余地を確保

進捗と次ステップ

  • O/Hは完了
  • このあと車両へ組み付け→実走セッティング
  • 試乗で減衰+イニシャルを詰め、お客様の用途に合わせて最終化します。今から乗り味の確認が楽しみです。

よくある質問(要点だけ)

Q. どのくらいの周期でO/Hすべき?
A. 使用環境によりますが、2〜3年/1〜2万kmが一つの目安。サーキット頻度が高い方は短めを推奨。

Q. 旧型でもまだ直せる?
A. 純正準拠で直せる範囲は広いです。非純正加工が入っている場合は、純正復帰コストが増えることがあります。

Q. どこまでバラしてくれる?
A. ご要望に応じ、**プレミアムライン(完全分解に準ずる整備)**も選択可能です。


まずはご相談ください(無料)

  • 現状セッティングの確認だけでもOK
  • **O/Hと同時に“走るための微調整”**まで責任を持って行います。
  • 遠方の方はサス単体送付/車体預かりのどちらも対応可能。

お問い合わせ
電話:090-3316-5306
LINE:@llv7594i
フォーム:https://sgfacendo.com/contact

パーツ供給状況により、対応可否が分かれるメーカーがあります。
現在は車両純正(SHOWA/KYB/Öhlins)、社外ではÖhlins/FGを中心に受付。
Marzocchi/KONI/Z1・CB750K等の旧車は、加工を伴うO/Hで対応できる場合があります。まずは症状をお知らせください。

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