自社製造のピストンと製作の意義
昨日はBT1100の改造が忙しくブログを休みましたが、皆様はいかが過ごされましたでしょうか?私のBT1100は今週動き出します。
お客様の納期もありますので、作業を終えた夜10時頃から2時まで作業を進めました。下の写真は圧減衰(コンプレッション)のピストンです。10年以上前に図面を引いて、4台分作りました。
わかる人にはどうという事の無い、特徴のないピストンです。八つのオイル穴がありますが、なぜ八つのなのかと申しますと、フライスで長穴にすると製作費が高くなるからです。一つの大きな穴では穴の中心が真ん中に寄ってしまうため、それを嫌い小さい穴をなるべく外周付近に寄せました。
このピストンを造り使う(シム組に悩んだり実際に乗り)事で、ピストンとシムの関係等、油圧機器の理解が飛躍的に高まりました。専門書では2/3乗型と呼ばれるピストンです。一般にリニアなどとも言われますが、これに対しデグレッシブ(ダイグレッシブやディグレッスィーヴォとも呼ばれる)はかなり違った特性を持ちます。
デグレッシブとは字引によれば「逸脱」などと呼ばれる非線形の特性なのですが、フロントフォークにはかなり使えます。これは他の要素も大きく影響していると考えますが、現在でも市販車のカートリッジの大半に採用される、20mmピストンの容量を上げたような感触を得られます。
表面処理、クリアランスの設定、ピストンの形状にシム組、当然ばね定数からイニシャル、油面、油種、突き出し量、リアとの関係性など多くの要素から成り立つフロントフォークは、未だに飽きずに試し遊んでいます。
サスペンションセッティングの楽しさに身を埋めてみたいと考える方は、一度相談ください。