CBR600/1000RR SHOWAのレースベースリアショックのメンテナンス

複雑な構造

CBR-RR系のレースベース車両に搭載されるリアショックは、SHOWA製であり、その複雑な構造が特徴です。基本的な構造は一般的なショックアブソーバーと同じですが、伸びと圧の減衰力が相互に影響を及ぼさないように設計されています。そのために、特別なチェックバルブが使用されています。

チェックバルブの役割と構造

減衰力の制御

このショックには、チェックバルブが組み込まれています。チェックバルブ自体は珍しいものではありませんが、このショックのチェックバルブはその構造が非常に複雑で、興味深い作りとなっています。具体的には、ピストンやシムを留めているナットの形状に工夫が施されており、オイルがチェックバルブ(リーフスプリング)に流れるようになっています。

シムへの負担とその対策

過大な流れの影響

この設計の問題点は、過大なオイルの流れが発生した場合にあります。例えば、ハイサイドや縁石に乗り上げるといった大きな動きが入力されると、シムに想定以上の負担がかかります。これによりシムが変形し、正常に機能しなくなるリスクがあります。シムが変形すると、チェックバルブがピッタリと閉じなくなり、ショックの性能が著しく低下します。

このため、CBR-RR系のレースベースのリアショックは、定期的なメンテナンスとシムのチェックが必要不可欠です。シムの状態を確認し、必要に応じて交換することで、ショックの性能を維持し、安全にレースを続けることができます。

実際のメンテナンス事例

シムの状態確認と再利用

幸い、このショックの個体ではシムに傷みが見られず、再利用が可能でした。シムに異常がなかったため、通常のオーバーホール作業のみで済みました。以下に、具体的なオーバーホール手順を簡単にまとめます。

  1. 分解作業: ショックアブソーバーを車両から取り外し、分解します。各部品の状態を確認し、特にチェックバルブ周りのシムに注意を払います。
  2. 洗浄: 全てのパーツを丁寧に洗浄し、汚れや古いオイルを取り除きます。これにより、再組み立て時の精度が向上します。
  3. シムのチェック: シムの変形や摩耗がないかを確認します。問題がなければ再利用し、必要があれば新しいシムに交換します。
  4. 再組み立て: 各パーツを慎重に組み立て、オイルを充填します。最後に、全ての部品が正確に機能するかを確認します。

追加情報
写真の特殊形状ナットには穴がありません。しかしバイパスポートを持った製品もあります。また当記事とは直接関係ありませんが、JSB当初のワークスライダー用リアショックを分解した経験もありますが、トップアウトスプリングのレートが大幅に違った個体も確認しています。

まとめ

SHOWA製のCBR-RR系レースベースリアショックは、その複雑な構造により、高い性能を発揮します。しかし、過大なオイル流れによるシムの負担には注意が必要です。定期的なメンテナンスとシムのチェックを行うことで、ショックの性能を維持し、安全にレースを続けることができます。今回のメンテナンス事例でも、シムに異常がなく再利用できたことが幸いでした。

ぜひ一度、弊社のオーバーホールサービスをご利用いただき、この優れたショックの性能を最大限に引き出してみてください。

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