VFR800のローダウン、フロントフォークに関して
ローダウンの依頼で預かったVFR800のフロントフォークを作業しました。
以前に新車で預かり試乗、GSX-750Sとの対比、ローダウン状態での試乗を行っています。
今回の作業でも、追加で色々と細かい部分の測定も行いましたため、書き記します。
フォークスプリング
フォークスプリングは2段バネですが、こういた品はレート測定が難しく当社の設備では行えませんが、純正の初期状態でどれほどの反力なのか確認が行えました。
個体差が若干あるもののイニシャルは22~23mmかかっており、その状態での反力は概ね17Kです。この数値が分かると、次に使うバネのセット長をどれ程にすれば良いかの参考になります。
特にローダウンを行うと短いストロークで大きな吸収力が必要となります。これに関しては直近でBMWのS1000Rをローダウンした記事があるので参考にご覧下さい。
上記のことから今回もシングルレートのスプリングを選択しています。
追加の小変更
ローダウンのために減衰力を発生するカートリッジを分解したので、ついでに動きを良くするための小改造を行いました。
上の写真で分かる通り、減衰力を発生するカートリッジは複数の部品から成り、そこにはインナーロッドと呼ばれる部品があります。メーカー出荷状態はかなりザラザラしているため、研磨作業で表面をならすと動きが大幅に向上します。
ピストンは分解は行っていませんが、出荷状態では錆止めのためにグリスを多くぬってあり、それらを取り除きオイルが問題なく通るようにします。
トップキャップも分解するので、イニシャルアジャスターがスルスル回るように、Oリングやネジ部分に適量のグリスを塗布して組付けを行います。単純な作業ですがグリスの有無で調整作業がとても楽になるので、ご自分で分解する方には推奨しておきます。
VFR800のフロントフォークはブラケットとアウターチューブが別々で、CB400SF・NC39のVテック1やCBR900RR、VTR1000Fなどホンダがたまにお金を掛けて造るフロントフォークと同様です。私はこの形状がとても格好良いと感じています。
難点として少々、アウターチューブの傷みが早くアルマイトが早めに削られるため、新車か早い段階で上部なコーティングを施すと良いでしょう(もちろん一度コーティングを剥がすと寸法変化するのは承知の上で)。
という訳で近日、試乗を行いますのでまたその報告をブログと動画にします。お楽しみに。