またZX-10RのBFFを仕様変更
SHOWAのガス加圧フロントフォークBFFが気になって、一時は車両を購入してテストまで行いましたが、それが縁となり10RのBFFは多く依頼を頂いております。
今回は2020年型の前後ショックをO/H(昨年末にも2020年型の仕様変更を依頼頂いておりました)が基本的な内容ですが、説明を進めてゆくと予算の範囲で仕様変更も行いたいとなり、フロントのバネも併せて交換しました。
リザーブタンクがあり、減衰関係の部品はアクスルブラケットに集中しており、セッティング等の作業は行いやすい利点がある反面、バネした重量が増えます。
そしてバネ自体もブラケットに接するように、ホイールに近い位置にあります。これはバネを交換する際にフロントフォークをひっくり返して抜き取るか、または磁石などで引っ張り上げます。そうなるとオイルが激しく減りますので油面を再度管理する必要に迫られます。
そこでサーキット向けやセッティングを頻繁に行う場合は部品を制作して、昔から在るようにスプリングを上部に持ってゆきます。
これは扱いに気をつけないとストローク途中で部品同士が干渉して、ショックが動かなくなるという重大な事故が発生しますので、部品の作りや寸法を吟味しなければ成りません。
過去にも実績があり、造るのは問題ではありませんでした。ただ油面が純正とは変わりますので、体積を考え、求めてから油面を自分で設定する必要があります。
一番簡単なのは低いところから初め、徐々に高くしながら丁度良いポイントを探す手法です。今回は計算してある程度の数字を求めました。
写真は新品スプリングでも汚れがあるので、使う前に清掃した写真です。
今回の依頼ではトップアウトスプリングは純正のまま、メインのスプリングのみを交換しました。この車両のフロントフォークが良くない。と私は考えていますが、その最たる要因はばね定数が高すぎる点にあります。具体的には1.2Kgf/mmですが、どのような使い方を想定しても過剰としか思えません。
それに加えてトップアウトスプリングも硬く、なんとかしたいとの思いから自社製のスプリングを製作しました。
しかし組み換えは割りと高額になるため、今回は主スプリングのみで仕様変更となりましたが、その組わせで最良のセッティングを演出するのは少々骨の折れる作業であろうと感じていました。
しかし、予想に反してバネとプリロードの設定を終え仮組みしてからフロントフォークを押すと、かなり良い動きを見せます。これは行けるかも知れない。と感じつつ本組して車体へ組付けを行い試乗を始めました。
走り出した直後は、リアとの帳尻を併せない状態ではやはり不満を感じましたが、合わせこんでゆくと徐々に良さが出てきます。
トップアウトをそのままでも、ここまで良くなるか?と自分でも嬉しくなりました。実はある程度の予感は有ったのですが、それはZX-12Rのフロントフォークでも今回の依頼と似たような改造を施して、成果を残していたので、何とかなりそうだと直感が有ったわけです。
今回はここまでとして、次回はリアに関する紹介をします。
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