サーキット研修で那須モータースポーツランドへ
昨日は会社の研修で栃木県の那須モータースポーツランドへ行きました。
業者向けの卸会社グリップ商事の走行会で、そこにダンロップ、ブリジストン、ピレリにミシュランのタイアメーカーがテスト車両にタイアを取付けて試乗をさせてくれる素晴らしい趣向です。
自社のGSX250Rも持ち込み、テスト車両も予約して走行が始まりました。
朝一番は路面温度も心配なのでGSX250Rで走り久しぶりの那須のコースを確認しつつ、自身もサーキットと車両の動きを確認しました。
GSXは従業員の角田が整備していたので、概ね快調でした。
BS S22の印象と評価
一本目の走行を無事に終え、二本目はブリジストンが用意していたS22というタイアを装着したホンダのCBR600RRです。
走り出す前にブレーキレバーの位置と遊び量がどうにも好みになりません。クラッチ側もややレバーが重い感触です。
自分の車両では無いため、調整の時間も限られているので諦め走行を開始しました。
走り出した最初からかなり印象の良いタイアです。特にフロントのグリップに安心感があり全く怖くありません。
スパッと切れのある旋回性といより、ややまろやかなトロみのある倒し込みです。重いのではなく適度な反力があり安心して倒し込みが行なえます。
空気圧を確認したところでは冷間でF2.1、R2.3だそうです。スポーツ走行を楽しむには極めて良好な特性で以前までのブリジストンの印象を覆す素晴らしい仕上がりでした。
二つのグリップ性能
以前にブログと動画で取り上げた内容ですが、アスファルト上を走る場合のグリップは主に二種あり、粘着摩擦とヒステリシス摩擦です。
私が最後に使っていたブリジストンはBT014でしたが、このくらいまでは粘着摩擦でグリップを稼ぐ印象だったのが、このS22はヒステリシス摩擦を重用している印象です。
このグリップ感覚の違いは上のロンクのブログが動画を確認頂きたいのですが、私の好みはヒステリシス系なので近年のBSは私にとって良い変化を起こしています。
10年以上、ブリジストンを忌避していたので、今後は選択肢に入るのは確実です。
ダンロップ Q5の試乗と評価
ブリヂストンS22との対比では明らかにQ5に軍配が上がります。
特性自体はS22と全く同じに感じました。軽やかすぎずに程よい反力で倒し込みが怖くありません。低速域で車両を動かすときも安定感を強く感じます。
グリップの感触も上に上げたヒステリシス系で私の好みです。
S22をより質を上げたというか一皮剥いたような、明確に一段上の性能を感じ取れます。
この後で卸業者の担当営業さんに上の内容を伝えたところ、Q5の方がよりサーキットに向いた性能だと知り、納得しました。
サーキットのみを走るならQ5で、ツーリング先を楽しんで走るならS22という選択が良さそうです。
ブリヂストン T32
ツーリングタイアのブリヂストンT32も試しました。
正直、サーキットで楽しいタイアではありません。上のQ5とS22たちと比較するとタイアのケース剛性が高く硬く感じます。
こちらは粘着摩擦の比率が少し高まっているのか、その原因はわかりませんが明らかな作りの違いがあるようです。
試乗した車両はトライアンフのスピードトリプル675です。ある程度速度は出せるので、ブレーキと加速でタイアを潰す感触は試せます。
そこではタイアが撓む感触は無いものの怖くはなく、グリップは十分です。
ラウンド形状(タイアトレッド面の曲率)はツーリング向けでやや平たく軽快な印象はありません。
フロントタイアを試す時はブレーキを握りながら倒し込んで確認しますが、そこで怖くないけれど情報量が少なく、どこまで行けるのかの感触が希薄です。
やはりツーリング向けなので走り操る楽しさではなく、大人二人乗車で荷物満載でも持ちこたえる堅牢さも求められる上に、グリップも確保する必要があり、楽しさという面までは手が回らないというのが実情なのかも知れません。
しかし普通に走るには十分なグリップはあるので、バイクを操る楽しみよりも、バイクで出かけ着いた先で思い出を作るような人には向いているのではないでしょうか。
エンブレ時のグリップ
これは車両のエンジン特性やバックトルクリミッターの有無により大きく変わりますが、その部分での縦グリップが一番安定していたのはQ5で、T32が最下位でした。
Q5はリアが跳ねそうな状況でもネリネリと路面を掴み、離さない強い安定性があります。逆にT32は若干跳ねるような感触です。
しかし下位のT32ですら、5~10年前のタイアと比較すると大きな進歩を明確に感じ取れました。
車両の個性とタイアの個性を切り離して考える
一番良い印象はGSX-R600とQ5、ついでCBR600RRにS22、最後にスピードトリプル675のT32の順位付けで、タイアと車両の評価順序が一致します。
タイアのお陰で車両の評価も釣られるのか?そこを見極める必要があり、性能評価をする際の重要な点です。
本来は車両を固定してタイアだけ交換するべきですが、上のような条件で試験するのであれば車両評価も行い、タイア評価との分離に務めるべきです。
今回は明らかにGSX-R600の車両評価が高く、タイアとしてもQ5が良かったと分離評価を行いました。
CBRは操作系の一部を好みに近づけられずに、車両評価が落ちました。
トライアンフはシフトペダルがステップバーからかなり遠く、足の寸法が26cmのワタシでは土踏まずをバーに乗せていると、べダル先端がつま先になってしまい上手に乗れませんでした。
最後に
上記のような問題点を加味してタイア評価を行っています。
皆様も評価をする時は個別項目(パラメータ)として性能を抜き出す感覚を養えば、物の善し悪しが端的に理解できるようになりますので、試して遊んで頂ければ二輪車の面白みも更に増すと思います。