ダンパーストロークの難しさ
スイングアーム交換車のリアショック――
「バネが合っていても“沈めない”なら台無しになる」 という実例です。
経緯
ドゥカティ Sport1000 はツインショック位置に 1 本だけ太いショック をレイアウトする珍しい構造。
今回、補強付きスイングアームへ換装した際、リアショックを極端に短くする必要が生じました。
長さとバネ定数は合わせ込まれていましたが――
問題点
- ダンパーストロークが大幅に削られていた
- 例えるなら、立った姿勢から “しゃがむ途中” で強制的にロックされる状態。
- 結果として
- 向き変え中にリアがガツンと止まり、前のめり姿勢に。
- 小さなギャップでも即・底付き、乗り心地は最悪。
一次改善 ―「短ストロークで走らせる」応急策
- 硬めバネ+イニシャル抜き
- 動き出しの柔らかさと沈み込み最奥の剛性を両立。
- 減衰を新バネに合わせ再設定。
→ 通常走行はこなせるようになったが、リアが入り切らず車高が高いまま。
- 旋回中の不自然さ(前荷重過多)は解消できず。
抜本改善 ― ストロークを取り戻す
項目 | 処置内容 |
---|---|
ショック本体 | 車高調整機構のない Öhlins BMW 用モデルを流用し、ストローク量を最大化 |
自由長 | 微調整で適正ライドハイトを確保 |
バネ/減衰 | 車重・荷重に合わせ再設定 |
→ 倒し込み〜旋回〜立ち上がり すべてで姿勢変化が自然になり、
“普通のバイク” のフィーリングに回帰。
注意点とまとめ
スイングアーム交換によるジオメトリ変化で最も見落とされがちなのは、
「バネ・減衰より先に “必要ストローク” を確保しているか」 という基本です。
- バネ定数や減衰力だけを合わせても、
ストロークが不足すれば操安も乗り心地も破綻します。 - カスタム後に違和感が残る場合は、まずストローク量と車高バランスを疑ってください。
サスペンションの迷い、まずはプロへ
- 電話:090‑3316‑5306
- LINE ID:@llv7594i
- 問い合わせフォーム:https://sgfacendo.com/contact
バネ選定・ストローク設計・ローダウンまで一括サポート。
業販も歓迎です。お気軽にご相談ください。