ドカティ・ムルティストラーダの前後ショック仕様変更
【サスペンション換装で別次元へ】
― Ducati Multistrada 1200 × Andreani カートリッジ & Öhlins TTx 実走レポート ―
── 1 最初に伝えたいこと
「前後ショックを替えても走りは大して変わらない」。そう思っている方にこそ今回の事例を読んでいただきたい。Monster のローダウンに続き、シカゴ出身オーナーが 2 台目として預けてくれた Multistrada 1200 は、フロントを Andreani カートリッジ、リアを Öhlins TTx に換装したことで「早く走り出したい!」とライダー本人が思わず声を上げる仕上がりになった。
── 2 ケーススタディ:Chicago ライダーが求めたもの
依頼主は 185 cm の大柄な体格。Monster でも前後ショックの交換で走りの足回りを整えたが、Multistrada では「オフロード寄りの長ストロークを活かしながら、ロードスポーツ的なキレを出したい」というリクエストだった。
・作業手順
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フロントに Andreani カートリッジを組む。※注文品が誤配送だったためトップキャップ・ボトムネジを寸法合わせし、正しいストローク長に変更
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リアは Öhlins TTx。若干の角度変更などで取り付け可と判明し、仕様変更のみに留める
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フロントばねは0.90 kgf/mm へ。日本の街中+オーナー体重で荷重がちょうど乗る設定にした
部品の誤配→再設計→テスト走行まで 6 か月を要したが、初試乗で依頼主は「純正とは全く違うサスペンションの動き」と興奮していた。
── 3 技術的ハイライト
・ジオメトリーの再構築
バイクの基本となるリアショックの動きを正し、そこに合わせ込むようにフロントの車高や各種減衰力を整えていった。
・ばね/減衰
フロントスプリングの変更と油面調整で初期入力を受け止めつつ、適度なボリュームとなった減衰力とこれを変更することで「姿勢変化を味方にコーナー前半は前荷重、後半はリア駆動で押し出す」動きが明確になった。
── 4 FAQ:よくある疑問に答えます
Q:電子制御からアナログに戻すのはダウングレードでは?
A:ダイヤルを手で触るだけで減衰を体感できるため、セッティング時間は従来の三分の一。旅先での微調整も容易だ。
Q:車高は上がるのか下がるのか?
A:沈み込み量を計算しているため、さげる事も下げる事も可能。今回は±0mmとし、前後の均衡にこだわった。
Q:乗り心地が硬くなるのでは?
A:低速域を柔らかく、高速域のみ締め直す方向で再設計している。舗装の継ぎ目で突き上げることはほぼない。むしろ快適性は大幅に増している。
── 5 お客様の感想
「アクセルを開けた瞬間、フロントが吸い付いてコーナーが短く感じる。Monster とは違う“飛ばせるツアラー”になった!」
── 6 費用と投資回収シミュレーション
・総費用 463,000 円(税込)
サスペンション交換は“乗り替え”より低コストで、愛車の寿命と快適性を底上げする投資と言える。
── 7 次の挑戦:LAT-S プロジェクト始動
今回の Multistrada で得たデータをもとに、フロント伸び減衰カーブを全面見直した「LAT-S」を開発中だ。“クルーザー × スポーツ”の新しい落としどころを探る予定で、進捗は当ブログと YouTube で随時報告する。
── 8 お問い合わせ・引き取り納車の費用について
弊社では引き取り・納車も自社で対応しております。費用は距離に応じたガソリン代の実費(1Km/20円)と高速代をグーグルマップで試算した金額を請求するので、安価。
または長遠方のかたはBASなどの陸送にも対応しております。
メールフォーム:https://sgfacendo.com/contact/
電話:090-3316-5306(9:00–19:00)
LINE:@llv7594i
── 9 依頼から完成までの流れ
一昨年に続き、シカゴ生まれのアメリカ人オーナーから再びご依頼をいただきました。前回は Ducati Monster のローダウン、今回は Ducati Multistrada 1200 の前後ショック総入れ替えです。
「とにかく走りをもっと楽しくしたい!」という強い要望に応え、フロントは Andreani カートリッジ、リアは Öhlins TTx をチョイスしました。
部品誤配送を乗り越えたフロントフォーク
リアショックは小改造で問題なく装着できたものの、フロントは発注内容に間違いがないのに、届いたのは別車種用。そこで
・トップキャップ
・ストローク長
・ボトム側ネジ径
をすべて再測定し、寸法合わせで流用可能な状態に仕立て直しました。さらに、レートが合っていなかった純正フォークスプリングを、身長約 185 cm のオーナーに合わせた適正ばねへ変更。組み上げまで約半年かかりましたが、完成車を前にオーナーは「早く走りたい!」と興奮してくださったのが印象的でした。
走りのインプレッション
Multistrada は 120〜180 mm クラスの長ストロークを持つ“ハーフ・ロードスポーツ”。純正のままだとストロークを持て余し、タイヤがロード向けなぶん少し“ムニャムニャ”した動きが出がちです。そこで長いサスを活かしつつ、ピリッとしたキレを加える方向でセッティングしました。
リア:減衰はほぼそのままでも良好。数年後のオーバーホール時にシム組み換えを提案し更なる走るの質を高めたいが、今回はコストを抑制。
フロント:狙いどおり。大きな姿勢変化を逆手に取り、コーナー前半は前荷重で積極的に向きを変え、出口ではリアに荷重が乗ってぐいぐい加速できます。
ギャップ吸収:長ストローク+最適レートの恩恵で、荒れた路面も難なくクリア。
唯一の課題は タイヤ摩耗。幅広リアタイヤは減ると急激に旋回性が落ちるため、距離管理が必須です。近年のスポーツモデルに共通する弱点ですが、特に太いサイズでは顕著に表れます。
今回の試乗で感じた大まかな感想は上記のようなものでした。セッティングから仕様変更、またはご自身の車両が現状ではどのような動きになっているか?それを知りたい方は、是非当社をご用命ください。
依頼はいつでも受け付けております。
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