リニアスプリングのセッティングと評価
リニアスプリングは一般のライダーを軸にして、全日本のST600年間チャンピオンにして海外レースの経験が豊富なライダーにも関わってもらっていました。
その方たちのコメントを元にして、傾向とセッティングの流れをまとめたので、下に記します。
- クセのない素直な特性:20.5kg/mmのスプリングは、クセがなく素直な挙動を示すとの評価。これはリニアスプリングの設計哲学とも一致しており、幅広い用途での利用に適していることを示しています。
- レートの調整の必要性:立ち上がりの蹴り出しに関して、より高いレート(22kg/mm)が望ましいとの意見がありました。これは、特定のライディングスタイルやコース条件に応じた微調整の重要性を示しています。
- 異なるライダーの好み:全日本チャンピオンのような、加重と抜重をちゃんとできるライダーには、19.5kg/mmの方が動かしやすいという意見がありました。ライダーの技術やスタイルによって最適なスプリングレートが異なることが確認されます。
- 進入時の動きと蹴り出しの弱さ:TTXでの使用において、進入時の動きは良好であるものの、蹴り出しの弱さが課題として挙げられました。セットの調整により、これらの点を改善できる可能性があります。
- レースでのパフォーマンス:新しい21kgのスプリングを使用した結果、立ち上がりの蹴り出しの良さが向上しましたが、動き出しの渋さが感じられるという新たなフィードバックがありました。
- 耐久性に関する報告:約4ヶ月の使用後、座面が斜めになるという報告がありましたが、性能に大きな影響はないとのことです。
下はST600の年間チャンピオンにしてミニバイクの全国大会優勝ライダーの印象を元にした分析です。
1. レートとプリロードの調整
- 19.5kgのレートでは底つきが発生し、20.5kgに変更することで底つきを回避できるレベルに改善されましたが、その結果、コーナー中から開け口辺りでの跳ねる現象が発生。
- プリロード5.5mmの設定で、20.5kgのレートでギリギリ底つかない状態になりましたが、ダンパーの調整が必要となりました。
2. ダンパー設定の影響
- ダンパーのコンプレッション調整では問題が解決しなかったものの、リバウンドの調整により、跳ねる問題が大幅に改善されました。
3. スプリングの挙動
- リニアスプリングは、レートとプリロードが高いにもかかわらず、進入時の挙動はしなやかであるものの、コーナー中からは少し弾かれるような感覚があります。
4. ライディングスタイルとスプリング特性のマッチング
- 高速での進入とコーナーを寝たまま抜けるライディングスタイルにはリニアスプリングが適している可能性がありますが、立ち上がりを重視するライディングスタイルには、さらなる調整が必要かもしれません。
このフィードバックは、スプリング選定とセットアップの過程で、ライダーの好みやライディングスタイルに合わせた微細な調整がいかに重要かを示しています。特に、スプリングのレート選定だけでなく、適切なダンパー設定(特にリバウンド調整)が、望ましいバイク挙動の達成に欠かせない要素であることが強調されます。
レート違いや線形を替え特性に違いをもたせるVersione Lも開発していますので、今年の後半から来年には性能を見極めます。