新型DR-Z4Sのローダウン依頼が入りました。

新型DR-Z4S、ローダウン開発を始めます

市川の店舗から届いた一本の相談

市川市の販売店から、「納車前の新型DR-Z4Sで足つきに不安がある」という連絡をいただいた。
車両が届き、お客様が実際にまたがってみたところ、やはりシート高の印象が強く、「このままだと楽しむ前に怖さが勝ってしまいそうだ」とのこと。そこでローダウンを検討し、弊社へ話が回ってきた、という経緯である。

速さやスペックの話ではなく、「乗り始める前の一歩目が重たい」という感覚は、バイクを楽しむうえで意外に大きな障壁になる。特に新車であればなおさらで、「せっかくの新しい相棒なのに、最初から不安を抱えたまま乗り出したくない」という気持ちはよく分かる。

旧型DR-Zで積み重ねてきたもの

以前の記事でも触れたが、旧型のDR-Z4S/4SMについては、これまで何台もサスペンションのオーバーホールや仕様変更を手掛けてきた。オフロード系の車両としての素性、スプリングレートやストロークの「おいしい領域」、そしてローダウンした際にどこで破綻しやすいか、といった感触はそれなりに蓄積がある。

今秋登場した新型DR-Z4Sは、当然ながら細部の設計も時代も変わっている。それでも「長めのサスペンションストロークを持つシングルエンジン車を、オンロード寄りに気持ちよく走らせる」という骨格は、大きく外れていないだろうと感じている。そういう意味で、今回のローダウン依頼は、これまでの経験を新型にどう引き継げるかを試せる、楽しみな案件でもある。

LTDかLGNか、まだ白紙の設計図の上で

現時点では、具体的な仕様はまだ決まっていない。
大まかな方針としては、下げ幅が小さいのであればLTDで、より大きく下げる場合にはLGNを提案するつもりでいる。

LTDは、いわば「伝統的なローダウン」である。フロントは突き出しやスプリングの見直し、リアはスプリングシートやレート変更などを組み合わせて、前後のバランスを崩さない範囲で下げ幅を稼ぐ。費用対効果に配慮しつつ、「まずは足つきと初期作動を整える」という方向性だ。

LGNは、より踏み込んだ手法になる。前後ショックスプリングとも構造の深いところまで手を入れ、大きな下げ幅でも走りの質を落とさない(あるいは引き上げる)ことを狙う。前後の“均等な沈み”を意識しつつ、リバウンドストロークや作動域の配分まで作り直すため、開発の手間もリスクも増えるが、その分だけ自由度も高い。

新型DR-Z4Sについても、実車のストローク量やリンク比、スタンド角度、地上最低高などを実測しながら、「どこまで下げるべきか」と「どこから先はバイクの良さを削る領域か」を見極めていくことになる。

納期と、開発の進め方

今回の案件では、納期の目安として約二週間を想定している。
これは、いわゆる「汎用メニュー」の流用ではなく、新型車両として一度きちんと測定と試作を行う前提の期間だ。実測値と図面を取り、必要であれば部品を一度作り直し、試着・再測定を繰り返す。そのうえでようやく、「これなら提案できる」という形になる。

新型車の場合、最初の数台はどうしても手探りの部分が残る。その代わり、ここで手を抜かなければ、その後に続くユーザーにとっても、安定した品質のメニューとして提供しやすくなる。今回のDR-Z4Sも、その「一台目」として、慎重に進めていくつもりでいる。

新型車両とローダウン相談について

新型車両だからといって、ローダウンが物理的に不可能になることはほとんどない。ただ、どこまで下げるか、どこまで走りの質を残すか、その設計の仕方が難しくなるだけだ。DR-Z4Sのように発売間もない車両であっても、測定と検証を重ねれば、現実的な「落としどころ」は見えてくる。

実績のない新型車だからといって、最初から諦めてしまう必要はない。むしろ、車両の素性が新しいうちに、体格や使い方に合わせた最適化を考えておく方が、長く楽しめるバイクになることが多いと感じている。

DR-Z4Sに限らず、「自分の車種でも対応できるのか」「どの程度の下げ幅が現実的か」といったご相談は、いつでもお受けします。まずは、身長・体重、主な用途(街乗り・ツーリング・林道など)、そして“今どこに不安を感じているのか”を教えていただければ、LTDとLGNを含めた方向性を率直にお伝えします。

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