正のストロークと、負のストローク タイヤグリップ
LGNとRCTの関係:ローダウン技術の本質に迫る
目次
- LGNとRCTの本質的な関係
- ローダウンの課題とLGNの解決策
- トレードオフと技術者の役割
- RCTの持つ重要な役割
- サーキット・クローズドな状況における優位性
- まとめ
LGN(Lowdown Generazione Nuova)は、単なるローダウン技術ではありません。従来のローダウン手法とは一線を画し、独自の技術的背景を持つことで、他にない快適な乗り心地とタイヤグリップの高さを実現しています。この快適性とグリップの秘密は、RCT(ロード・コンタクトテクノロジー)との深い関係にあります。本記事では、LGNがどのようにRCTを活用し、ライダーに安心感を提供しているのか、そのメカニズムを掘り下げていきます。
1. LGNとRCTの本質的な関係
LGNのリバウンドストロークの大きさは、RCTの原則に基づいてタイヤと路面の接触状態を最大限に保つことを目的としています。通常、ローダウンを行うと足つき性は改善されますが、サスペンションの動きが制限され、グリップやハンドリングが犠牲になることが多いです。しかし、LGNはこの問題を克服し、リバウンドストロークを効果的に活用することで、タイヤのグリップ力を向上させています。
RCTの基本原則は、「タイヤが路面と接触し続けることで、車両の安定性とグリップ力を維持する」という考え方です。タイヤと路面の接触がしっかり保たれれば、ライダーは不安を感じることなく、安定した走行が可能になります。この概念をローダウンに応用したのがLGNであり、リバウンドストロークを意図的に増やすことで、グリップ力を保ち、安心感のある走りを実現します。
2. ローダウンの課題とLGNの解決策
通常、ローダウンを行うと、サグや乗車1Gの沈下量が増え、ショックが大きく沈み込みやすくなります。これにより、ハンドリングやグリップが悪化しやすいという問題があります。しかし、LGNではこの特性を逆手に取り、リバウンドストロークを積極的に活かすことで、走行時のタイヤグリップを高めることに成功しています。
LGNでは、スプリング交換を前提としたローダウンを行っており、正のストローク(伸び側のストローク)が不足しがちな部分をスプリングのレートアップによって補っています。これにより、短くなった正のストロークでも、しっかりと路面のギャップを吸収し、快適な乗り心地を維持することが可能です。単なるローダウンショックとは異なり、LGNはバランスを重視した設計で、ハンドリング性能を損なわずに足つき性を改善する技術です。
3. トレードオフと技術者の役割
もちろん、ローダウンによって増えたリバウンドストロークにはトレードオフがあります。リバウンドが増えることで正のストロークが減少し、サスペンションの衝撃吸収能力に影響を与える可能性があります。しかし、LGNではこのトレードオフを巧妙に克服しています。スプリングレートを適切に設定し、正のストロークの範囲内でしっかりとギャップを吸収できるように調整することが可能です。
技術者としての経験や腕の見せ所は、正と負のストロークをどのようにバランスさせ、最適な走行フィーリングを引き出すかにかかっています。単なる経験だけでなく、純正データの分析や数値検査、理論背景を基にした安全性の確保と実走による検証が、最終的な結果を左右します。ここで培った知見が、LGNの成功に繋がっているのです。
4. RCTの持つ重要な役割
LGNの成功の背後には、常にRCTの概念が存在します。タイヤが路面としっかり接触している状態を維持することで、グリップを高め、ハンドリングの向上を実現します。正と負のストロークをバランスよく設計し、常にタイヤが路面に接触し続けるようにすることで、LGNは単なるローダウン以上のパフォーマンスを発揮します。
サスペンションの基本原則である正と負のストロークをうまく設計し、その対比を適切にコントロールすることで、車両の安全性、快適性、そしてハンドリングの向上を達成できるのです。LGNが実現した「ハンドリング×ローダウン」という新しい概念は、まさにRCTの応用によって可能になったものです。
5. サーキット・クローズドな状況における優位性
ロードコースを走る車両では姿勢変化の大きさは、無駄になりやすく、極力小さな動きで全てを収めたい、つまり反応速度の速さが必要になります。
他方、オフロードでは路面追従性が極めて重要になるため、反応速度よりもストロークを確保して、タイアと路面の食いつきを重視します。そこで中間にあたるモタードでテストを開始します。
またCRF250も持っており、こちらではモトクロスコースでの優位性や可能性を探るつもりです。
まとめ
LGNは、単なるローダウン技術ではなく、RCTの概念を取り入れることで、他にはない乗り心地とグリップ力を提供します。リバウンドストロークの増加を積極的に活かし、ハンドリングを向上させながら足つき性を改善するLGNは、正と負のストロークのバランスを極めた技術の結晶です。ハンドリングとローダウンの両立を実現し、ライダーに安心感と快適な走行を提供するこの技術は、今後もますます進化していくことでしょう。
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[…] RCT(ロードコンタクトテクノロジー)理論からLGNの安全性や優位性は机上論としても実感としても理解はしていましたが、サーキットでそれを実証するため、那須に行ってきました。 […]