25年
先日依頼を頂いたお客様の車両は、CB400SFのNC31でした。初期型のシリンダーにフィンが無い型です。
25年前に新車で購入したまま、ずっと乗り続けている車両でしたが、驚くほど綺麗な良い状態でした。殆ど文句のつけようもありませんでしたが、前後ダンパーのオーバーホールと、若干の仕様変更を提案し、ブレーキ関連のメンテナンスも同時に行う事となりました。
フロントはオーバーホールに、3mmカラーを製作しイニシャルを追加したところ、大槻が試乗し若干張りを感じるとの報告から、1.5mmを造り直し交換しました。リアは、伸び圧の減衰共にシムの配列を変えることで部品代を掛けず、仕様変更を施しました。リアのばねは最近の車両と違い、シングルレートを採用しているため、自然な感触があります。これはとても好ましく思えます。
変更を施した車体に合わせ、リアのプリロードを変え、前後タイアの空気圧を様々に変更し、最良の状態を模索した結果をお客様につたえ、今後の参考になるよう提案させていただきました。
ブレーキもマスターシリンダーをNC39へ交換していると聞いていたのですが、無効ストロークの極めて少ない当たりのマスターのようで、純正品とは思えないくらいに、良質な効き方を体感しました。NC31はタイアサイズやシート高などがバランスよく、とても良く出来た車種だと思います。年が下るほどに色々な要望を取り入れ、ちぐはぐな車になる気がします。初期型の本質を突いた車造りは、心を打たれます。
自分のCRMでも感じましたが、強くブレーキを握りながら倒し込み、レバーを戻しながらフロントの荷重を抜くのは、横置きマスターでは少々繊細さに欠けるようです。レバーを握るとピストンとこすれる面が横移動と共に前後方向にも摩擦が生まれるため、無駄の多さが繊細な作業を邪魔するようです。見た目が嫌いでなければ、ラジアルマスターも良いかもしれません。しかし、CBのようなネイキッドには横置きマスターのタンクもさり気ない感じがして好きなので、見た目を選ぶか性能重視かで悩むところです。