クアンタムのショックをO/Hと改良
数年前に依頼頂いたNSXのクアンタムですが、再度入荷しました。
クアンタムの純正はアルミシリンダーを採用しています。これは軽量という観点としては良いのですが、アルミの材質と表面処理がそれほど良くないために、傷みが早く耐久性が低いと言わざるを得ません。
輸入代理店が機能していれば交換部品が入手できますが、現状では部品供給が絶たれており、低い耐久性では困ります。
そこで自社開発のステインレススティール製シリンダを設計しました。
一番必要なのは母材の耐久性、次に寸法精度、そしてインチネジの加工です。
内径はボーリング加工ですが、リアショックと違い長いシリンダーの加工は難しい面があります。
2年間の使用の後でO/Hのために分解するとシリンダー内壁は綺麗でした。これまでも二輪車のリアショックはシリンダーを作りましたが、四輪でもその耐久性が実証されました。
生産数が見込めれば自社製ダンパーの製作も可能でしょうが、大量生産は品質を安定させる技術面と販売力の両者が必要な難しい仕事です。
本題に戻ります。クアンタムのショックはこの様に部品製作を行えば長く使えるようになります。それ以外にもオイルシールを国産品に改めることで、耐久性と作動性を向上させます。
もっと沢山改良したい点はあります。例えばフリーピストンにバンドを持たせて倒れを少なくしたり、セカンダリーピストンを改良するなど、もっとよく出来る点はまだまだあります。
ピストンを作り変えて、さらにピストンリングも変更すると全てが整いそうです。ここまでするならショック全体を作り変えるような物ですが、いつかそのような自社製ショックも生産品として造りたいと考えています。
クアンタムのショックで困っているときには、一度当社に相談いただければ解決策が見つかるはずです。