VFR800試乗の感想前に、変更内容と改造点を説明。

 車高を落としたVFR800が完成し、納車を終えました。

 車高が下がりお客様がとても喜んでくださいましたが、試乗した私も乗っていて楽しい車両でした。

天候が悪く外で撮影できなかったので、以前作業した車両の写真です。

 前回は金額重視で、特にシート高を下げるのを最重要課題とし、乗り心地やハンドリングはやや犠牲にしました。今回は過去の経験を糧にしつつも部品代を少し上乗せできたため、上質な仕上がりになりました。

今回依頼頂いた車両には無限のサイレンサーが取付けられていました。これも程よい音量で素晴らしい仕上がりです。

 リアスプリング

今回はリアスプリングにオーリンズを用いました。

 前回と異なりリアスプリングにはオーリンズを用いています。使用レートは180Nmですが、これは純正より高い数値です。

 短いストロークで十分な衝撃吸収性を得るためにはバネ定数を上げつつ、初期荷重を上手に調整する必要があります。

 フロントフォークスプリング
 フロントのスプリングも硬さを変更しています。純正は二段バネを用いていますが、これが正直にいうと良くない設定です。

フォークスプリングの純正設定も、細かく情報収集しました。

 なぜかと言えば、二段バネの柔らかい部分を大きく潰しているので初期の反発が大きく、ふわっと柔らかく動きません。メーカーには何らかの狙いが有るのは承知していますが、私の理想とはかけ離れているし、当社に依頼をくださる方は仕上がりに満足頂いており、純正が好みに感じない方には、当社設定のハンドリングも喜んでいただけるはずです。

自社設定では単一レートのバネを採用しています。

 試乗記は次回のブログ記事に譲るとして、今回は前後ショックの改造に焦点を当てます。

 シートの加工も効果大

幅を絞り込むことで、大幅に足着きを向上させられます。

 シート加工は専門業者の方に依頼しています。熟練の職人さんなのでその仕上がりは秀逸です。

高さは変えない。

 高さを変えると吸収力が下がり、長時間の乗車で臀部が痛みだします。それを嫌い高さはそのままに、幅を絞り込み対応しますが、依頼者のかたは身長161cmでした。このシート加工とローダウンでかかとが1~2cm浮く程度まで下がり、安心感が増したと喜んで下さいました。

 私の感覚ではCB400SFより1~2cm低いといった印象をもちました。

 さらなる改造プラン フロント 
 伸び減衰、プリロード調整が可能です。これを使いつつ、右に伸び減衰、左に圧減衰を可能にする改造を施せばフルアジャスタブルにできます。

削り出しのアウターチューブは格好良いですね。

 VFR800という上質な車両は非常に魅力的ですが、重量の重さがやや気になります。もちろん重いのは利点も多くあり私も好きな特性ですが、そこに乗った動かした時の軽やかさが加われば、もっと楽しくなります。

昔から採用されているトップキャップのデザイン。もはや伝統と感じます。

 その点でもスプリング交換と上記のフロントフォーク改造は重要です。金額はO/H、バネ交換、減衰の組み換え等を含め20万円ほどです。

伸び圧のピストン。割とお金のかかった作りです。

 リアの改造
 こちらはフロントと違い、出来るなら社外品を投入するのが良いと考えます。オーリンズは販売を終えているようなので、FG等の社外品で作り直すのが良いでしょう。

 金額は一番シンプルな形状で16万円程度となります。

 イニシャル、伸び減衰調整の一番シンプルな形状か、車高調整が追加されたモデルが製作可能です。

純正リアショック。

 VFR800の純正リアショックはシリンダ内径が∮40と小さいため、15Kを超えるバネを採用するVFRには用が足りません。

 そこで社外品の46シリンダを用いることで十分な減衰力を得られ、バネだけでなくショックアブソーバの性能も底上げし路面の動きを細やかに追従するようになります。

減衰力発生の要、ピストンとシム。
組み方でなんとかなる部分は限定されており、やはりシリンダ寸法が重要です。

 前後ショックを改造交換すると40万円と高額ですが、もとが魅力的な車両なのでそれだけの金額を掛ける価値は十分にあります。

 ローダウンの場合はシート高を30~40mm下げて25万円前後です。

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