結局は車両の素性で決まる

タイヤ交換やサスペンションセッティングの行き着く先:バイクを「もっと楽しくする」ために

タイヤ交換やサスペンションセッティングに対して、多くのライダーが期待するのは、バイクをもっと楽しく乗りたいという一念だと私は定義づけています。では、その楽しさを最大限に引き出すためには何が必要なのか?と考えると、それは車両そのものの「素性」に行き着きます。

1. 「素性」とは何か?

以前のブログや動画でもお話ししてきましたが、バイクの「素性」とは、エンジンの形状を「どこへ、どのように搭載するか」によって決まります。エンジンをどのように配置するかは、車両のバランスやハンドリングに直結し、それがバイクの基本的な特性を形作る重要な要素となります。このエンジン配置が、バイクの「素性の良さ」を大きく左右するのです。

もちろん、それに付随する要素としてタイヤやサスペンションの性能も重要ですが、これらは基本的に「素性の良さ」を引き立てるものでしかありません。つまり、いくら高性能なタイヤやサスペンションを装備していても、元の素性が悪ければ、その性能を活かしきることは難しいのです。

2. 素性の良さを理解するためには

では、この「素性の良さ」を知るためには何が必要なのでしょうか?それは、知識と経験を積み重ねた結果生まれる「知見」によるものであると考えます。他分野で優れた知見を持つ人ならば、いきなりバイクの素性の良さを理解できるかもしれませんが、一般的にはその分野で十分な経験を積む必要があります。

例えば、私が先日記事にしたトライアンフ・デイトナ675は、素性の良さを強く感じさせるバイクです。エンジンの搭載位置、フレームとのバランス、そしてサスペンションの設定に至るまで、全体的に高いバランス感を持っています。このような車両は、タイヤやサスペンションセッティングの効果が十分に発揮されやすく、走りの質感が一層際立ちます。

3. バランス感のある車両とその特徴

他メーカーの車両にも、同じようにバランス感に優れたものがあります。素性の良いバイクは、たとえノーマル状態でもしっかりとした走行フィーリングを提供し、少しのセッティング変更やパーツ交換で劇的に走行性能が向上することが特徴です。

一方で、売れ筋のバイクであっても、必ずしも素性が良いとは限りません。バイクが多く売れている理由は、その楽しさやスタイル、ライダーの好みによる部分も大きく影響しますが、素性の良さはまた別の次元で語られるべきものです。

私のような仕事をしている人間にとって、この「素性の良さ」を理解し、車両をさらに上質なものに仕上げることは宿業と言えるかもしれません。ですが、一般のライダーにとっては、バイクを楽しんで乗ることが最も大切です。

4. ライダーの楽しみとプロの役割

最終的に、バイクの素性の良さを理解し、それをさらに高めるのは職業人の仕事です。お客様の車両を手掛ける際、私は常に素性の良さを引き出すために、タイヤやサスペンション、エンジンの特性を見極め、適切なセッティングを施します。しかし、ライダーの皆様にとっては、その結果生まれたバイクを思いっきり楽しむことが最も大切です。

私たち業者が提供するサービスは、ライダーがより楽しく、安全にバイクを乗り続けられるようにするためのものです。素性の良さを引き出し、バイクをベストな状態に仕上げることが、私たちの使命であり、そのために日々精進しています。


まとめ

タイヤ交換やサスペンションセッティングの行き着く先は、最終的に「バイクをもっと楽しくしたい」というライダーの思いにあります。しかし、その楽しさを最大限に引き出すためには、車両の「素性」が大きな影響を与えます。素性の良い車両に適切なセッティングを施すことで、走行フィーリングが一層際立ち、バイクがさらに楽しいものへと進化します。

ライダーの皆様は、私たちが施したセッティングを信頼し、思いっきりバイクを楽しんでいただければ幸いです。バイクの素性を引き出し、最高のパフォーマンスを提供することが、私たちの役割であり、ライダーの楽しみを支える重要な仕事なのです。

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