ダンパーのメッキに関する知識

硬質クロムめっきの役割と応用:自動車部品への技術的貢献

めっき技術とは?
「めっき」とは、金属などの素材表面に特定の機能や特性を加えるための技術であり、素材自体にはない強さや耐久性、美しさを持たせることができ、さまざまな工業製品に活用されています。めっきは主に以下の3つの目的で行われます。

  1. 耐食性めっき
    錆びやすい素材を腐食から守るためのめっき。たとえば、屋根などに使われる亜鉛めっきは、雨風による腐食を防ぎます。
  2. 意匠性めっき
    製品の見た目を良くするためのめっきです。自動車のエンブレムなどに使われるクロムめっきは、光沢を持たせてデザイン性を高めています。
  3. 機能性めっき
    摩耗や熱に強くする、電気を通りやすくするなど、素材に特別な機能を持たせるためのめっき。例えば、機械の部品に使われる硬質クロムめっきは、表面を強くして長持ちさせることができます。

硬質クロムめっきの特徴
硬質クロムめっきは、主に金属部品に使われる耐久性の高いめっきです。このめっきは、三酸化クロムという物質を使って電気の力で金属表面にクロムの薄い層を作ります。生成されるクロム金属皮膜は、通常の環境では錆びにくく、金属光沢を保つだけでなく、非常に高い硬度(800~1,000HV、鉄の約3倍)を持つため、耐摩耗性にも優れています。そのため金属部品が摩耗しにくく、長期間使えるようになります。

硬質クロムめっきの特徴には次のようなものがあります。

  • 錆びにくく、いつまでも金属の光沢を保つ。
  • 鉄の約3倍の硬さを持ち、摩耗に強い。
  • 表面が滑らかで、機械の部品が動きやすくなる。

これらの特性から、硬質クロムめっきは、機械の動く部分(摺動部品)や金型、紙を作るロールなど、耐久性や滑らかな動きが求められる部品に多く使われています。

まとめ
硬質クロムめっきは、自動車や機械の重要な部品を保護し、その性能を長持ちさせるために欠かせない技術です。カヤバでは、この技術を活用して、サスペンションや油圧シリンダーなどの部品をより耐久性のあるものにしています。このような技術が、車の安全性や快適性を支えているのです。

出典
KYB技法

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