TDR250
ヤマハ・TDR250のリアサスをオーバーホール致しました。
依頼を頂いたのはお馴染みのライダースさんです。松戸市のお店ですが、隣町なので頻繁に依頼を頂いています。
2~3年前にも一度メンテナンスを行いましたが、ロッドの状態も悪くなかったためそのまま再利用し、フリーピストンだけ純正の鉄のプレス成型品をアルミの品に置き換えました。
今回はロッドの摩耗も進行していた事を踏まえ、12.5mmから14mmへ当社のSGSA14に交換しました。当然オイルシールのはまるホルダ(シールヘッド)も交換し、各部の寸法も微妙に変えました。
最近はロッドを造るために多くの品を採寸し、図面に起こしています。そこで各メーカーの狙いも見えてきます。YHSと呼ばれるメーカーは公差が大きな方向の製品が多いようです。大同メタルの設計者の方と話をしたときに聴いた言葉は、要約すれば「クリアランスはダンパー設計者の思想」という事でした。砕けた言い方をすれば「クリアランスに決まりはない」です。
しかし、14mmのロッドは実寸で13.94mm。対するガイドブッシュの内径は実寸で14.04mmでした。隙間が小さいのが正しくて、大きいのが間違いなわけではありませんが、この14mmロッドで0.10mmの隙間は大きすぎると思います。なぜこのような寸法になっているかと考えますと、製造時の歩留まりを上げるためではないのかと推察します。もちろん、違う狙いかもしれませんがそれは分かりません。
エア抜きの精度を上げるために、FGの専用ボルトも取り付けました。これはブレーキのバンジョーボルトにエア抜き穴があるのと同様の構造です。この機構を採用すると、ダンパー内の残留空気が少なくなるため、耐久性と品質が向上します。写真のような製造時のバリは取り除いてあります。
各ショップのホームページには「エア抜きはバキュームポンプで確実に行う」と載せています。しかし、構造上機械が使えない場合があります。当社では予算が許せば説明を差し上げ追加工により、機械によるエア抜きを行えるように改造します。