タイアの空気圧

 先日から話題にしているCB1300SFの空気圧について、面白い事を感じました。

 お客様からはタイアの空気圧は、前2.5k、後ろ2.9kの純正が一番最良だったと聞いていたため、とりあえずその数字で試乗しました。セットが纏まってくると妙な感触を覚えました。

 リアの車高は明らかに低いのに、リアタイアの滑りがかなり早期に訪れるのです。一般的にタイアのスライドとは、アクセル開の時に起こると思われるかもしれませんが、実際は倒し込みの時にも表れます。今回のスライドはこの倒し込みのスライドを言っています。この現象が訪れるのは、フロントの車高が極端に低いか、リアの車高が極端に高い場合に、重量がリアに載らずスライドを誘発します。

 しかし、今回は逆にリア車高が低いのにスライドがかなり早くに訪れるため、面白いと感じました。これはタイアの空気圧が高すぎるためトレッド面の変形が少なく、路面への押し付けも弱くグリップ不足があったのだと思います。そこで空気圧を下げ試乗したところ、スライドはなくなりました。そこに至りリアの車高を上げ最良なハンドリングを実現できました。

 それならば、なぜお客様は空気圧を2.9kにしていたのか。そこに疑問が残ります。乗り手は技量もセッティング能力も高い方にあると思います。しかし、だからこそこの空気圧になっていたと言えます。純正のサスペンションはフロントの限界値が低く、ブレーキレバーを強く握りながら車体をコーナー内側へ寄せられません。そこで、リアの空気圧を高いままにしておけば、早い段階でリアが横に流れるため、向きを換えられるのだと考えられます。ノーマルの少ない調整幅の中で、最大限の効果を生む方法です。この手法は私の中に無いセッティングなので、新しい物として取り入れてみようと思います。

 

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