XJR1300のセッティング
YSP杉並南の佐野様から依頼があり、XJR1300のセッティングを行いました。
リアは2~3年前に当社でオーバーホールを行ってあります。走り出す前に跨って前後サスの動きを確認しますが、フロントが柔らかいのが分かります。試乗まえにとりあえず前のイニシャルを1回転掛け、走り出すことにしました。
フロントの動きが大きく速く、ブレーキでリアの動きが感じ取れません。更にイニシャルを一回転掛けると、リアの動きが感じ取れるようになりました。それでもリアの動きが希薄なので、今度はリアのイニシャルを抜きました。それでもフロントの低さを感じるため、リアの車高調整を1回転少し抜き、最短にしたところ大幅に改善し、前後の動きがとても分かりやすくなりました。リアの伸びダイアルも13段から3段目まで試し、その間の良い所で落ち着きました。フロントの圧(コンプ)も入れたり抜いたりを試し、1段強めました。
XJR1300の基本特性は、フロントのスプリングレートが低いために動きが大きく速いので、イニシャルと減衰を強めてゆく方向で、リアもばね定数が低く、減衰も弱いためにダイアルが締め方向となりました。
私のセッティングはライダーが積極的に荷重移動を行えば、より楽しく安全に走れるセットです。先ずは私自身が楽しいと感じられる状態にした後で、お客様に試乗頂き、個人個人に落とし込んでゆきます。
純正のサスペンションでも自分自身が気に入る落としどころが必ずあると考え、狭いストライクゾーン(スウィートスポット)を狙い変更を重ねます。XJRは前後のスプリングを硬めるだけで、車体の許容度が大幅に上がり乗る楽しさは倍増します。セッティングがどうにもまとまらないと悩む方には、スプリング交換を最初に行ってもらえれば、解決への近道になるはずです。