ドカティ、ムルティストラーダの試乗
前後サスオーバーホールのキャンペーンで依頼を頂いた、ドカティ・ムルティストラーダが作業を終えたので、セッティングを行いました。
車格はあるように見えますが二気筒なので全体の幅は細く、そのボリューム感はカウルで作られています。
フロントフォークもリアサスもSHOWA製です。前後とも交換可能な部品は全て交換してあります。組みに関してはスライドメタルの変形などに気を使いながら、細かい仕上げを行っています。それもあり、単体で動かした時の作動感はかなり良好です。
跨って直ぐにリアの硬さが気になります。走り出してもやはり同じ印象で、フロントの柔らかさも目立ち、ちぐはぐな車両でした。そこで、リアはイニシャルを最弱にし、圧の減衰調整を全抜き、フロントのイニシャルはどんどん増して、自然な沈み込みになるまで調整しました。このフロントはストロークが多く取ってあり、減衰も十分な変化を起こすためとても好印象です。それに反して、リアの硬さは少々きつ過ぎます。私のように体重だけは欧米並みの人間でも、度が過ぎると感じました。このままのスプリングレートで調整するならば、もっとイニシャルを抜いたほうが良いと思いますが、油圧アジャスターはそれ以上変化させられないので断念し、他で帳尻を合わせました。
ツインプラグのエンジン、1000DSはかなりパワフルでとても速いので、それに合わせしっかり受け止める足回りにすれば楽しいバイクに仕上がります。お客様にも試乗を行ってもらい、変化を十分に感じ取り楽しい車両になっていたと評価頂きました。
少し冷めていたバイク熱に、オーバーホールとセッティングでまた火が入ると、作業をした身として嬉しく思います。