CB1100EX評価会、スポーツラグジュアリーは体現できるのか?
土曜日の夜はCB1100EXの走行評価を柱に、私のBT1100、MT-07とパニガーレも同時に試乗し確認を行いました。
CB1100ですが完成直後の試乗ではわからなかった雑味を発見し、そこの修正を考えました。フロントの動きに対しリアが若干硬めです。車高もリアが少したかそうです。この二点を同時に変化させるにはバネ系を変更するのが良いと考え、リアのイニシャルを少し抜きました。それによりだいぶ改善し、リアを軸に曲がるいかにもネイキッドといった動きを見せるようになりました。
イニシャルを抜くことで車高も下がりあたりも柔らかくなったので、全てにおいて良い方向に変わり良くなりましたが、リアの動きが少し軽すぎるようにも思えます。さらなる向上を目指しリアの伸び減衰を2クリック強めたことで、かなりの安定を得られやっと納得できる水準となりました。
私よりも前に試乗していた梅山が「タイアの空気圧が少し高い」と話していたため、タイア空気圧を0.1~0.2Kほど下げ最後の試走を行ったところ、機敏性と安定性にグリップ感も大幅に向上しました。タイアの空気圧は少し変更し好みの範囲に入ってくると、素晴らしい操縦性を得られます。
このCB1100はかなり作り込んだ車体ですが、もっと良くなる要素がたくさん発見できました。現在の課題「スポーツ・ラグジュアリー」がどの程度CB1100において体現できたのかといえば、現状はスポーツとラグジュアリーが同居しているものの、面と裏といった印象です。その表裏一体の両者を、「表と裏」ではなく「横並び」にしてより親和性を高める必要があると感じました。
BT1100は当社のアルバイト梅山が乗ってきてくれました。代車に貸し出しして一月以上も乗っていなかったのですが、車体構成が好きで選んだ車体。それに自分好みのセットアップを施してあるので、やはりしっくりきます。長年連れ添った女房のような。と言いつつ実際にウチのカミさんよりも付き合いが長く、前の持ち主の方からずっと手がけているため、十年以上の付き合いです。
今年の5月に五年ぶりに動き出したBT1100ですが、リアサスはFGの最高峰FFXを使います。このダンパーは作動性が極めて良く絹のような手触りを感じさせる動きをします。
フロントフォークはカートリッジ化を行い、スプリングを以前よりも少し柔らかくしてあるので、街乗りのギャップも難なくいなします。カートリッジ化で減衰を付与すると、スプリングイニシャルに対する自由度が増し、ギャップのいなし方が上品にできます。
MT-07はダンパーメーカに勤務する友人が個人所有し、仕事の研究のため材料として仕入れたバイクです。こちらも細部は明かせませんが、仕上がりはBTやCBと同じ方向性でフラット感のある乗り味です。上記二台と比較し、車重が軽くゆったり感は少なめですが、その二台よりもシャープでスポーツ走行には向いています。
前後の車高とダンパーのかかり方が、私好みでした。特にリアの車高がほんの少し低いのですが、それがフロントタイアの実舵角を自然なものとしいる点が好印象です。リアが若干低いせいでリアタイアから曲がってゆく様も素晴らしい。
この点を友人と話していたところ、彼は私の好みを知っているのでその方向で仕上げてみた。と教えてくれました。なかなかの策士です。
パニガーレに関して、一番気になったのはポジションです。高すぎるシート高、後ろ過ぎるステップ。シート高が高いとアクセルを開けた時に自然とリアタイアに(逆の場面ではフロントに)荷重が乗りやすくなります。しかし間違うと過剰な変化が起こり、ウイリーやジャックナイフを誘発しやすくなります。シートの高さは足つき性以上に、前後の荷重変化をどのように取りまとめるか、という観点から設定すべきだと考えます。
ステップはシートの位置から規定されますが、この車両はかなり後ろでした。シートストッパに当たるほどお尻を後ろへ持って行っても、それ以上にステップは後ろです。これでは体を横移動することが難しく、倒しこみの一瞬斜め前方へ体をダイブさせるのは容易ですが、下半身で支えられない上体を腕だけで支えなければならず、ハンドルの切れ角を阻害するように思います。
持ち主の方は190cmの身長があり、シート高やハンドルが遠いなどの、一般的な日本人が感じる不満はないと思いますが、イタリア人でもドイツ人でも190cmは流石にあまり見かけない、大柄な体格です。身長が高くても低くでもシート、ステップ、ハンドルの位置関係はそれほど大きく変わるもではないので、これはドカティの設定がおかしいのだと、私は断定します。
ですが、私の知らない乗り方や使い方があるのかもしれないので、また機会があれば試乗し探求してみようと思います。
総勢5人が集まり、2時間半余りの試乗会でしたがとても有意義な時間を過ごしました。それぞれ、バイクという物を探求する人たちなので、素晴らしく良い集まりだったと思います。またCB1100とBT1100の仕様変更を施した来週にも開催しようと考えていますので、その際は報告致します。