ビルシュタインの分解

 フェラーリの456GT用Bilstein(ビルシュタイン)をオーバーホール中です。

 こちらも動画で紹介しようと思いますが、写真でご覧いただける通りかなり泡立っています。オイルもかなり汚れているので、性能の劣化は激しいはずです。逆を言えばオーバーホール作業の効果はかなり感じ取りやすいと思おいます。

2019116162919.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨年ですが、911タイプ996の純正ダンパーを作業した時も、お客様が慣れた近所の道を走った際に、ギャップが感じられなくなったと連絡くださいました。

 456GTは4座と言えども本質はレーシングカーですから、その乗り味はかなりスポーティーです。私が感じた限りではバイクと同じくらいのエキサイティング(イタリア語では動詞でeccitarsi,名刺はeccitazione)を得られました。この最上のエキサイトを感じるためにはエンジンは当然の事とし、サスペンションも重要な役割を果たします。そのためしっかりとしたエア抜き作業、最適なオイルシールを用い上質な動きを作り出せば、その楽しみをより多く感じられるようになります。

 ロッドの表面処理、ケース・ロッドガイド(シールヘッド)、オイルシール、ガイドブッシュ、ピストンリング、フリーピストン、エア抜きの手法、各種治具を含め純正をベースにとことん作れば110万円の見積もりとなってしまいました。

 今回はそこまでの作業は行いませんが、重要な部分に手をいれる内容です。それでもなかなかの価格になりますが、それは性能に直結しますので、お客様には喜んでいただけると自信を持って作業しています。

 

 2019116162647.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 写真でご覧いただいているのはガスとオイルを隔てるフリーピストンです。このフリピ(写真左)はOリングのみでピストンリングを持ちません。これを写真右のピストンリング有り交換する事で動作を安定させて、更に動きをよくすることも可能です。高さは純正と同じなので、寸法上のデメリットはありません。むしろギリギリの設計の中で作られた、456のフロントにはストロークの余裕を作る事が可能になります。

 

201911616337.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロッドと相対するドライベアリングは、長期使用により地金(バックメタル)が現れています。こうなる前に早期のオーバーホールを推奨します。
シールヘッドを新造すれば、オイル室側にベアリングを持って行く事で潤滑性を高め、磨耗を遅らせるような特別な仕様にも作り替えられます。

 

201911616462.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 将来的にはFGの様にイタリア製でフェラーリのダンパーを作ってみたいと考えています。ツインチューブのFFX.Tの最新機構により、スポーツとコンフォートを高い次元で両立させるのが目標です。