オーリンズのカートリッジキット

 イタリアからの物流が止まり、ここのところオーリンズの作業が増えています。

 ドカティのスポーツ1000を依頼いただき、フロントフォークを改造しました。

 前後の車高を下げるのが主たる目的でしたが、そこでオーリンズのカートリッジキットを提案し承認いただき、作業に入りました。

 このキットは昨年も使いましたが、表面のコーティング、隙間寸法、剛性が相まって素晴らしい作動性を見せてくれます。正直、費用対効果、ヴァリュー、便益の高い商品です。

 しかし、全ての車種に対応している訳であありませんから、それを取り付けようと思えば相応の苦労が伴います。ということは、もちろん工賃も必要になる訳です。
 先に価格を示しますが、キットと工賃込みで30〜35万ほどは必要となります。それでもフォークアッセンブリよりは若干安いし、設定のない車両において、ステムからブレーキ、ホイールのフィッティングまで考慮すれば、現実的な価格とも言えます。

 今回のフォークに関して詳細は動画で話すつもりなので、ここでは車体全体の仕上がりを話します。

 ドカティはメーカー出荷日のままで、乗りやすいと感じたことはこれまでに一度もありません。必ず大きな変更を施さなければ、楽しくありませんでした。そう言えば初期型のムルティストラーダだけは例外でした。この車種以外は、必ず問題を抱えています。

 スポーツ1000は、デザイン優先でタンクの形状が大きく張り出しており、ハンドルがかなり開いています。幅も広いです。シートの座面も広く全体的に違和を覚えずには居れません。しかしですね、前後ショックの造り込みを終え、私の理想の乗り味を作り終えた後では状況は一変しました。
 ポジションは全く変更していないに、ポジションが大きく改善されています。これはなぜであろうと考えると、ポジションとはその実、車両の運動と密接に関係している様です。つまり、ポジションによりバイクに動きを与えるが、同時にバイクの動きでポジションも制約を受けている。バイクの動きが理にかなったものであれば、余計な力が不要となりある程度のポジションの間違いも許容するのではないでしょうか?

 これらは推論でありますが、現実に起こる現象を読み解けば一定の理はある様に思います。当然の事ですがポジションが最適なら文句はありません。これまでの経験からZX-12Rにおいても同様の事が起こりました。
 ハンドル、シート、ステップ、タンクの形状などは単純にそこに不満を抱き変更するのは早計であり、全体のまとまり、パッケージとして俯瞰、鳥瞰が必要で全体像を掴み想像してから実際に事を起こす(変更する)のが正しい順序であると、経験から導き出しました。

 このブログの内容が皆様の助けになる事を望みつつ、筆を置くことにします。

 

 

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