今年二台目のムルティストラーダ1200Sパイクスピーク

 2016年型の電子制御サスを持つドカティ・ムルティストラーダを試乗しました。

 今年の4月にも同じ車両を預かりましたが、今回も同様に車高を下げつつ、乗り味を変化させる事も重要な目標となっています。

 純正サスペンションセッティングの評価

 半年ぶりに同車種の試乗です。半分オフロードの様な車体の足付きは極めて悪く、身長165cmで極端な短足の私では片足をちょこっと着けるのが精一杯です。ただしモトクロスやCRMのハイシート仕様に乗っていた経験から、足着きの悪さに対し問題視はしていません。ただ、一般的に厳しいのは理解できます。特にオフ車と違い実質大柄なロードバイクのムルティストラーダは車両重量も考えると、小柄な人の選択肢になりづらいと思います。

 そこでシート高を30mm~50mm下げロードバイクと同じ様な車高とし、ストローク量の多い前後ショックもオンロード化することで足着きと市街地やサーキットでの操舵感を両立させます。

 ハンドリングはどうかといえば

 フロント
 メーカー出荷時の状態はどっち付かずと言うのが本音です。つまり「オフロード・オンロードのどちらにも適していない」となります。それはな何故でしょうか?一番大きな要因は前後ショックのスプリングが適性では無いからです。フロントは驚くほど柔らかいバネです。右のフォークでイニシャル量の調整は可能ですが、幾ら反発力を増しても低レートなバネでは動き出しの硬さだけが目立つ様になり、問題が解決しません。少し強めのブレーキで大きくフロントが沈み込みます。

 リア
 フロントフォークに反して、リアのスプリングは硬いと感じます。減衰力は調整可能ですが、スプリングが柔らかくなる訳では無いため、硬さは否めません。

 仕様変更の方向性

 前後ショックを分解し実際の計測を行い最終的な方向性を決めますが、試乗した感触ではフロントのバネは硬く、リアは柔らかくする。減衰はZF/ザックスの電子制御は仕様変更が難しいのですが、試せる事もあるため、少々いじってみようかと

思います

 ハンドルポストの結合部

 http://www.sgfacendo.com/blog/2020/05/index3.php

 上記リンクのブログに書きましたが、前回依頼があったムルティストラーダはハンドルポストのゴムブッシュが極端に柔らかく、直線から減速や、倒し込みで入力が変化すると、コンマ数秒でしょうがハッキリと感じ取れるほどの間があり、スポーツライディングには向かないと思いました。
 今回はの車両はそんな事もなく、しっかりとした結合で思い通りに動かせました。4月に依頼のあった車両はハンドル関係が変わっており、しかしながら今回入庫の車両もハンドルがプロテーパーでカーボン製なのでどこまでが純正なのか、正直全くわかりません。

 カーボンハンドルの車両には初めて乗りました。プロテーパー(根元が太く、グリップ部分が通常の太さに変化するモトクロスに端を発する機構)は程良いしなりで、私の乗るBT1100もプロテーパーを純正採用しているため、オンロードでも採用の増えている同機構は今後の主流なのかも知れません。

 預かって2週間たちやっと試乗を終えたので、これからサスペンションを外し前後ショックの仕様変更へと進みます。

 

 

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