ホンダ S660を試乗しました。
旧知の方が尋ねてくださり、ホンダのS660を乗らせていただきました。
ミッドシップは初めて運転しましたが、電制てんこ盛りのおかげで怖さはなく運転できました。
ショックの基本設定
バネは柔らかく、ダンパーは必要以上に強いと感じます。直線でザラ付きの大きな路面ではかなりガツガツした印象を受けます。ならば硬いのかと思えばロール量は大きく、つまり旋回のような大きな動きでは沈むのに、素早いショックの動きは吸収できない。それはダンパーが硬い事を示唆しています。
この仕様でも、グッと一瞬踏ん張る短期的な入力の旋回ではかなり気持ち良いタイアの接地を感じます。問題はこの気持ち良さを感じられる状況が極めて限定的な点にあります。ですからスプリングをもう少し硬め、ダンパーの圧(縮)を抜けばしっとりとした柔らかくも踏ん張るセットにできると思います。
もちろん、これらは試乗での印象と机上論なので、現実の車両でセットを詰めてゆくのは容易ではありませんが、方向性は大凡正しいはずです。
サスペンションの認識が間違っている人は多い
私自身が同様の経験を持つのでよく理解できるのですが、柔らかくよく動くバネに減衰を強めにかければ、しっとりと路面を掴めたりタイアがじっとりと路面に押し付けられるとの考えを持つ人は多いと、経験から私は知っています。しかし、この認識は真逆なのです。
路面にしっとりとタイアを押し付けギャップを綺麗にイナしたければ、先ずは適度なスプリングを見つけ、そこに対して必要十分な減衰を足して行くのが最適な手法です。仮に圧の減衰がほぼ発生していなくとも、適切なバネがあれば相当程度まともな乗り味になります。
繰り返しですが大切なのはスプリング
これまで何度となくしつこく繰り返していますので、耳にタコでしょうが、サスペンションシステムの根幹はスプリングです。前提としてアーム長や構造体の精度、強度は当然の項目ですが、それらが決定された後のショックアブソーバー(スプリングとダンパーの複合体)の主役はバネであり、ダンパーはそれを活かすものであります。
という事でこのS660は少しの仕様変更でもっと楽しくできそうです。
試乗した簡単な感想
タイアはネオヴァです。6MTのターボ車は軽快で低速のトルクも十分な良い仕上がりです。雨の中では前述のサスセットもあり少々浮き足立った感触を持ちます。この「浮き足立った」とは私独自の解釈ですが、タイアと道路の接地面に掛かる圧力が弱く、少しの横力、又は駆動力で横滑りしそうな不安定感を指します。
実際、フロント荷重で旋回し左から右に切り返す場面でわざとアクセルを強めに踏み込みましたが、リアを振り出しそうになりました。出るのがわかっていたので、直ぐにアクセルを抜けましたが、抜く直前に電子制御が介入するランプが2〜3点灯するのを確認しました。
ミッドシップの怖さを感じさせない電制を含む車両制御は秀逸だと感じますし、流石は大メーカーです。新車で250万円と聞きましたが、正直値段は安くありませんが楽しい車でした。機会があれば晴れた日にまた乗ってみたいと思います。