カワサキH2のフロントフォーク
前後ショックのO/Hを依頼があり、カワサキのH2を進めています。
2年ほど前にサスのベースセットを依頼くださった方が、今回はO/Hで預かりました。
リアショックはハイラインと呼ぶ、消耗品を全交換する内容ですが実質のフルO/Hです。フロントはプレミアムラインで、完全に全てを分解する作業内容で進めました。
H2はスーパーチャージャーが備わっているだけあり、恐ろしく暴力的な加速を見せます。それだけに減速の重要性が高くフロントのスプリングレートも減衰もがっちりしています。YZF-R1も同じ機構のKYBフォークを採用しており、作動性は極めて良好です。H2はインナーチューブにDLCを施してあり(少々の課題はあるものの)耐久性も高く私としては高評価を与えています。
それだけに部品点数が多く分解作業は工数が増え、当然工賃も高くなります。部品点数が多いという事はそれらを完全分解し洗浄するのは極めて有効な作業と申せます。
R1の動画でも少し話しましたが、フロントフォークの作りが良いだけにリアショックの安っぽさが目立ちます。普通に売っている車両の中では良い出来と言えるリアショックですが、反してフロントの出来が良いために見劣りするのが現実です。
H2の前後ショックを制限なしの改造をするなら何から手をつけるのか?先ずはリアショックに性能の高い品、つまり思い通りのセッティングが叶う製品を取り付けます。フロントは難しいでしょう。純正フォークのセッティングを変更したり社外品に交換しても、あの加速からの原則には手を焼く筈です。
どこでテストをするのかも難しい問題です。サーキットを含め私の経験では290Km/hしか出した事がありません。400Km/h出るというバイクのフォークセットは簡単には出ないでしょう。ですから街乗りでのセット問題なくとも300Km/hを超える超高速域からの減速をどれだけ短時間で簡単に、安心して(怖くない)行えるかはとても難しい難題でしょうが、いつか挑戦してみたい題材です。