MT-01の完成とロード・コンタクト・テクノロジー(RCT)

 MT-01が完成しました。

 先週の土曜日に納車を済ませましたが、とても楽しい仕上がりにできました。

 フロントフォークの仕様はオーリンズのFGKカートリッジ。リアは市販のオーリンズを仕様変更しました。

 操舵性を言語化するのは難しい作業ですが、頑張ってみます。

 純正の前ズドンと沈み、リアが高い状態は私にとっては楽しい設定では有りませんでした。そこでフロントフォークは減速状態で前が沈み、加速で前がスーっと伸びる設定を目指します。リアはサイドスタンド状態から車両を起こして(空車1G)で沈み、人が乗ると(乗車1G)でしっかり沈む。これにより減速で前が沈み後ろが伸びる姿勢を作り出せます。
 そして倒し込みでリアがしっかり入る。そこから加速すると前が伸びリアは状況により伸びたり沈んだり。この感覚が大切です。

 サスペンションの機能を突き詰めると前後タイアに対して荷重調整を行う事にあります。
 姿勢制御とは動的な車高調整であり、それは荷重制御に繋がります。それを意識して思い通りにできれば気持ち良いハンドリングが作り出せる訳ですが、そのためには単にダイアルを回せばよい訳でなく、バネ交換、取り付け位置、減衰の設定を調整してそこからやっとダイアル調整に進みます。そしてこれはタイアの空気圧と同時進行で変化させてより好みへ近づけてゆきます。

 数年前のブログでピッチングセンターの位置をどこに設定するのかを、何回も取り上げました。この制御に「ロード・コンタクト・テクノロジー」(以降RCT)という概念というか名称を友人が付けてくれました。そのRCTを実現するために前述の設定変更が必要になります。

 ではRCTとは一体何であろうか?それはタイアと路面を常に接し続けるための技術です。乗り心地を良くするなら路面とタイアを離してはいけません。タイアと路面が離れる。それはつまり飛ぶ(ジャンプ)する事であり、想像すれば簡単にわかるように着地には衝撃が伴います。ですからタイアと路面を常に接し続けるだけで乗り心地は良くなります。
 乗り心地だけでなく、タイアが路面から離れたなら接地力(グリップ)も発揮されないので危険です。ですからRCTが重要になるのです。

 ピッチングセンタの(位置)決定とその動かし方、前後ショックの動かし方、そこから自然発生的にロールとヨーも決まりそれらの総称としてRCTになりますが、運動の三軸のピッチングセンタが私にとっては最重要課題となり、それが最適化されると残りの二つも向上します。これは必然なのか偶然なのかはわかりませんが、二輪車に置いてはPCが最優先されるべきだと感じています。

 良いサスペンションとはその荷重変化などを具体化できるのか?で判断すべきだと考えます。動きが良いとか悪いとかではなく、思い通りの姿勢変化を起こせるのか?が判断基準となり、当社で扱う製品のOHLINSとFGはそれが可能であると判断しました。
 他にも良いメーカーはあると思いますが、代理店さんがしっかりあるならそちらに任せたほうが時間もお金も無駄になりません。ですから純正ショック以外はFGとオーリンズのみを重点的に扱うと決めています。

 MT-01に関して近日動画で造ったハンドリングを話すつもりです。ブログでもまた取り上げます。

 

2022312153256.JPG