TZR250/1KTのリアショック改造
依頼を頂いた1KTのリアショックが作業を終えました。
依頼時の不手際でお店とお客様に迷惑を掛けましたが、心の広い方で理解を示していただけたので無事に納品を終えました。
実は1KTの減衰発生機構はシムがないド・カルボン型です。現在主流の形状ではありますが、現行型においては最も原始的とも言えます。
これを改良して欲しいとの希望でしたが、減衰設定を位置から作るのであれば社外品を購入するほうが安価で早い。そこで減衰設定は純正をそのままにサスペンションにおいて一番重要なバネの値を見直し、基本的な動きを現代のタイアに合わせて見直す。
ダンパー(減衰)に関しては各部の改質により滑らかに作動するようにして、路面追従性をスプリングと共に向上させる方向で注力しました。
その手法はピストンリングとガイドブッシュを現代的な物に替える。オイルとガスを分離するフリーピストンを背が高くOリングとピストンリングを備えた物に替え、それによる倒れがなくなり安定した動作が可能になる。
ガスも微調整可能にできるよう、バルブを新造する。とうにより手で押したときにもダンパーロッドが真っ直ぐに動く感覚を得られます。もちろん乗っても良いだろうと直感しました。
スプリングはそのままでは社外品は取り付けられないので、樹脂でカラーを造りました。当然長さはイニシャル量を計算して純正とはあえて違う値にしてあります。これも路面追従性を向上させる目的(と同時に乗り心地と操舵性)の一環です。
価格は令和4年3月現在で概ね10万円でした。