CB1000Rが仕上がり納車に至りました。

 今年に入り預かっていたCB1000Rですが、とうとう完成し納車に至りました。

 基本路線は昨年預かり試乗を行った際に決めておりました。具体的にはリアの車高が高すぎる点を解消し、フロントの動きをライダーに感じさせる。この二点に絞りフロントフォークとリアショックを製作して行きました。

 フロントフォークはシングルレートで硬さも悪くなさそうだったため、減衰の組み替えに焦点を絞り、インナーチューブの研磨とグリス、オイルの種類を厳選し、更には組み立て作業を綿密に行う事により滑らかな作動性を実現できました。

 リアショックはFGのFQE11(リザーブタンクが無く一番シンプルな形状)のほうが、長さや空間効率の面で楽が出来るのは百も承知なのですが、格好も追い求め最高峰のFFX11を選び、何とか隙間に収めました。

 フロントフォークやリアショックの設定よりも、お客様から期待を持って依頼された「アヴァンギャルドPKG」と銘打ったセッティングの仕上げにかなり悩みました。お客様には私の好きにさせて頂くのが同セッティングの指針だとは伝えてありましたが、CB1000Rの乗り味を新たにデザインし直したうえで、それがお客様の満足感や楽しさに直結しなければ単に私の自己満足になってしまうからです。

 基本セッティングは「プログレッシブPKG」とし、運動の三軸を私の考える理想のポイントに置き、そこから前衛的と呼べるまで崩しに入りました。ただ崩しただけでは何の価値もありませんから、崩した先にある楽しさを求め走り込みを行い、あるセットから方向性が確認できたため、そこから小変更でまとめ上げました。

 技術面よりもお客様が感じる楽しさをどのように仕上げるかが、今回感じた一番の難しさでしたが概ね満足の行く内容に仕上がり、安心しました。

 

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