CB1300SBに乗りました。

 以前に車体ごと預かり乗り味を整えたCB1300SBのお客様がBT1100を試乗に来てくださいました。

 試乗に際して私がお客様のCBに乗り、いつも走る道を先導しました。BTの乗り味がとても良かったと評価していただき、製作者としても満足しましたが、実はブルドッグのサスはまだまだ手を加えなければならない箇所があり、仕上がりは80点程度です。
 フロントの減衰、リアのスプリングと減衰、ブレーキパッド変更など100点を目指しこれかも進化して行きます。

 お客様のCBはリアにFG、フロントは右伸び、左圧のフルアジャスタブルに改造する当社のSGCF4Pになっており、その後にプレミアムライン・プラスと銘打ったオーバーホール以上の仕様変更も施したスペシャルフォークに仕上がっています。
 お客さまがツイッターで書いてる文章を度々目にしていましたが、実際に乗ってみた印象は、リアのFGに比較して純正改造のフロントの方が質が高いという事実に少々驚きました。まるで抵抗を感じない(オイルが水ではないかと感じる柔らかな動き)のに、乗れば動くところは動き、止めるところはしっかり止まります。摩擦抵抗を極限まで減らし、減衰で動きを制御する利点が際立っていました。極微低速の減衰はオイルシールとダストシールが作り出し、各部表面の程よい荒さが適度な動きを演出します。もう少しメカニカルな抵抗で微低速の力を出しても良さそうです。
 グリスはFGのスペシャルグリスを用いて、長持ちしながらも滑らかな動きを作り出します。

 反面、リアショック は摩擦抵抗が微かに感じられます。これはフロントが激変したせいで感じる程度であり、一般的な範疇かそれ以下です。FGはロッドをφ14で作り、オイルシールの材質を吟味しているおかげで、ダンパー単体、または手押しでは抵抗を強く感じるのですが、車両にまたがり動かすと驚くほど滑らかです。
 しかし、そのFGですらフリクションロスを感じました。次回のオーバーホールでは、この抵抗をどこまで減らせるかが前後バランスの肝となりそうです。

 前後ショックが良いのは中身まで含め、私自身が設定し作り上げたので良いと感じて当然かもしれません。しかし、車体のセットアップを行なったお客様の腕もまた見事でした。前後のバランス(当社ではロードコンタクトテクノロジーと呼びます)が見事に調和し、バイクが綺麗に曲がって行きます。
 いつも走る道なので、車両を読み解くポイントは熟知しています。そこで感じたのはタイトコーナーをスパッと曲がる設定だという点です。これはギャップをいなした際の前後ショックの動き量(バネ系)やお釣り(減衰系)から読み解けます。
 お客様に話したところ私が考えた通り、狭い道を小排気量の車両と一緒に走るため、小回りの効く設定だそうです。ここまで綺麗に仕上げるのは見事というほかありません。このCBで特筆すべきは車両の至る箇所において締め付けトルクを管理し、フレームのしなり具合を乗り手の好みに仕上げている点です。この観点から申し上げれば、BTは少々雑味が多い感じです。

 締め付けトルクと方向性を持ったセッティングにより、このCBは癖のない自然なコーナリングを実現しています。かといって没個性ではありません。好みの点でいえば、若干プッシュアンダー気味のコーナーリング性を感じました。一番の要因は17インチタイアに35オフセットステムでは、舵角のつき方がキツく、フロントタイアを押してしまうからです。BTはこれを嫌い車体姿勢で誤魔化しています。しかし、これを解決するにはステムオフセットを変えるしかなく、金額も安くないためこの改善を実行するのは懐具合がキモになります。

 車体の仕上げから私自身も学ぶことが多く、それを今後に活かして行きたいと感じました。

 

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